まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

薔薇のマリア Ver0 僕の蹉跌と再生の日々

薔薇のマリアVer0 僕の蹉跌と再生の日々 (角川スニーカー文庫)

薔薇のマリアVer0 僕の蹉跌と再生の日々 (角川スニーカー文庫)

  • ストーリー

マリアローズはダンジョンで獲物を狩っては金品を稼ぐ《侵入者》である。
ずっとひとりで稼いできたマリアだったが、次第に自分の限界を感じ始めていた。
ある日、偶然出会った大男とその仲間に誘いを受けて悪魔が巣食う“閉鎖魔宮”に潜入するが……。


初十文字先生作品です。作者おすすめ順に従ってVer0から読んでみることにしました。


いきなり固有名詞がたくさん登場してちょっと困惑。
それでも読み進めて固有名詞に慣れてくると世界にどっぷり浸かることができました。
地下のダンジョンに潜ってモンスターを狩ったり、死んでも(制約はあるものの)再生することができたりと、ゲーム的な要素が多い設定ですね。
そのわりにあまりファンタジーという感じではなく、妙にリアルで生々しく人間臭い物語でした。


マリアは弱い主人公です。
戦いでは対して強くないし、他人との関わり方を知らず、他人を求めながらも孤独に生きています。
そんなマリアがクランZOOのメンバーと出会い、仲間と共に戦うことを知っていく。
その過程でのマリアの葛藤や苦しみがとても丁寧に描かれていたと思います。
ところでこのマリア、最後まで男か女か確定できませんでした。
BUNBUNさんの表紙イラストを見て女だと思い込んでいたんですが、本人は男だって言ってるし、でも本当かどうか分からないし、見た目は美少女らしいし、ううん、もやもやする。
もちろん個人的には女であってくれると嬉しいんですけど。


多くのキャラが登場しますが、中でも気になるのはアジアンでしょうか。
マリアに一目惚れしてつきまとう凄腕の美少年剣士です。何やら大きな秘密を隠しているような気がします。
調子のいいキャラなのであまり好きではありませんけど、物語の重要な鍵になっていきそうですね。
そしてもうひとり気にかかるのが魔術士の女の子・コロナ。
思わせぶりに序盤で登場したわりにはほとんど登場もしないまま終わってしまいました。
かなり魅力的なキャラだと思うのでこれからの活躍に期待したい。


謎や伏線も多いし、設定も十分だし、これから壮大な物語に発展していく予感。
あくまでこれは出会いの物語ということで、とっとと本編に進んでしまいたいと思います。