まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『我が魔道書は此処に在り 没落貴族と魔道学院』感想

我が魔道書は此処に在り 没落貴族と魔道学院 (富士見ファンタジア文庫)

ストーリー
七年前――名門ロレーヌ公爵家は壊滅した。陰惨な闇討ちを受け、貴族の誇りである魔道書を失うという、最悪の形で。没落公爵家に残された、幼き令嬢ルネと騎士アルト。ロレーヌ家を陥れた宿敵への報仇、誉れ高き家門の再興を生涯の誓いとしたふたりは、伝統あるベルン帝立魔道学院の門を叩く――。帝国随一の荘厳な学び舎。天賦の才に溢れる俊英ぞろいの学徒たち。新たな一歩を踏み出したふたりだったが、否が応にも七年前の謀略に潜む黒幕との戦いに巻き込まれていき……。胸に抱くは、気高き使命と揺るぎなき矜持。世界を変える力、魔道にすべてを捧げた少年たちの熱きバトルファンジー開幕!

魔道と王道と学園と
没落した公爵家の主従が、お家復興のために魔道学院へと入学し、襲いかかる悪意に立ち向かってゆく学園バトルファンジー
面白かった!! 魔道士である少女を守る騎士の少年、剣と魔法の華やかな戦い、高飛車な貴族令嬢との決闘と、まっすぐど真ん中のストレートをぶちこんでくれていて大満足。
舞台設定がとても好きなので、主人公たちを取り巻く陰謀やバトルはもちろん、魔道学院での日常や生活もがっつり読ませてもらいたい!


闇討ちによって父を失い、代々伝わる魔道書のページを奪われ、没落貴族の子女として魔道学院に入学した名門ロレーヌ家の令嬢・ルネ。そして彼女を守るために生きる少年騎士・アルト。
公爵家でありながら没落したロレーヌ家は貴族たちの笑いものとなっていて、周囲の目は冷ややかで。でもそんな世間の蔑みになど負けず、胸を張って家の復興を志すルネとアルトの姿が熱い。
二人のライバル役として登場してくるベアトリス&エステルの主従がまた美味しい。かたや没落貴族、かたや名門貴族の主従が、ちょっとしたいざこざで出会い、真っ向から決闘をすることになり、そしていつしか友情が芽生えていく。こう書くとベタな流れですが、ベタのレベルが高いからとても楽しい! こういうのを王道ストーリーって言うんだろうな。
特に、気位が高いお嬢様なんだけれど根っこは優しくて理解があって、それでいて魔道士としても優秀なベアトリスがとても魅力的でした。最推しです。


ルネは魔道の名門の末裔だけれど、魔道書の半分以上を失っているためにその真価を発揮することはできず、魔道士として圧倒的に強いというわけでは決してありません。
そんな彼女が、しかし授業などで少しずつ垣間見せる違和感。生命の秘奥が記されているというロレーヌ家の魔道とは、何かとんでもない力なのではないかと予感させてくれる伏線の張り方がニクい。
一方で、学院での新たな生活の中、少しずつ見え隠れするルネへの悪意と陰謀。自分たちよりも遥かに強い魔道士に命を狙われている緊張感。
ついに訪れた危機に際して、ルネとアルトの本気が明かされるわけですが、ここまでの流れがあっただけに素晴らしく燃えました。
まだ物語は始まったばかりですが、いつの日か魔道書を全て取り戻したロレーヌ家の魔道の神髄をぜひ見てみたいので、長く続くシリーズになってくれると嬉しいです。


イラストは白井鋭利さん。可愛さと格好良さ、日常にバトル、どこを取っても惚れ惚れしちゃう……。
中でもやっぱり照れ顔ベアトリス様がトレビアン。


せっかく魔法学校モノなので授業シーンももっと見たい!