まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと』感想

サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと (カドカワBOOKS)

ストーリー
〈沈黙の魔女〉モニカ・エヴァレット。無詠唱魔術を使える世界唯一の魔術師で、伝説の黒竜を一人で退けた若き英雄。だがその本性は――超がつく人見知り!? 無詠唱魔術を練習したのも人前で喋らなくて良いようにするためだった。才能に無自覚なまま“七賢人”に選ばれてしまったモニカは、第二王子を護衛する極秘任務を押しつけられ……? 気弱で臆病だけど最強。引きこもり天才魔女が正体を隠し、王子に迫る悪をこっそり裁く痛快ファンタジー

〈沈黙〉、それは最強の証
何かの拍子にコミカライズの試し読みを見て一発で惚れ込んでしまい、気付けば一息で読み終わってました。今見たら去年の「このラノ」2位でした。ふふん、僕のラノベセンサーもまだまだやるじゃん(アンテナは鈍りまくってるけど)。
世界で唯一無詠唱魔術を使える天才魔術師……だけれど極度の人見知りの少女モニカが貴族の学園に潜入して自らの正体を隠しながら王子の護衛に励む学園ファンタジー
いやー面白かった! 魔術と数学にパラメータ極振りの主人公が、ここぞというところで魅せる圧倒的天才ぶりに魂震えました。爪を隠す鷹はやっぱり格好いいよなあ!
最強なんだけど欠点だらけでもあるモニカが、学園生活の中で友人を作ったり生徒会活動(!)に勤しんだりと、少しずつ成長していく物語としても楽しく読めますね。


お話のプロローグでいきなり竜の大群を撃滅させた主人公のモニカさん。いきなりブチかましすぎてて既にめちゃくちゃ格好いいんですが、一方で人と関わるのが苦手すぎる引きこもりです。無詠唱で魔術を使うという唯一無二の技術も、人の前で詠唱するのが困難だったからだという理由で生み出したというのだから筋金入り。後ろ向きに天才すぎる。
そんな彼女が押し付けられた任務は、貴族の子女が通う学園に学生として潜入して第二王子を陰ながら護衛すること。当然、17歳にしてほぼご隠居のモニカさんにとっては無理難題にも程があるわけで、まともに自己紹介もできないし、話しかけられても返せないし、お礼すら言えないし、あれこの子わりとガチのコミュ障だな??
これじゃあ護衛対象に近づくことすらできなさそうだと思いきや、意外な名探偵ぶり&有能極まる会計技能によって、あれよあれよと王子が所属する生徒会に入ることに。ダメダメだと思って見ていると、魔術はもちろん予想外のところで卓越した才能を次々見せてくれるので飽きません。おもしれー女。


人間関係のパラメータが全てマイナスに振り切れてるモニカだけれど、そんな彼女の心の壁をほぐしてくれる人々も。
ラナとの初めての友達関係にはほっこりしたし、イザベルは表の悪役令嬢ぶりと裏でのモニカLOVEぶりが楽しいし、使い魔コンビの漫才は物語のいいアクセントになってくれました。生徒会の面々はまだモニカを信用していない人も多いけれど、シリル副会長とはなんだかいい関係性を築けそうな予感。
それにしても気になるのは色々と秘密を抱えていそうな第二王子フェリクス。彼が何を考えているのかは物語の根幹に関わってきそうですね。謎が明かされていくのが楽しみです。


イラストは藤実なんなさん。美麗かつ可愛さのある絵柄が最高ですね。
プロローグで見開きイラストがあるのですが、これで一気に引き込まれました。


現状はイザベル推し。もっと出てきてくれてもいいのよ。