まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

薔薇のマリア Ⅷ.ただ祈り願え儚きさだめたちよ

  • ストーリー

彼は青くて狭い部屋に閉じこめられていた。
部屋から出るのはせんせいのいる医務室で検診を受けるときだけ。
ひとりぼっちで心を閉ざす彼は、名をアジアンといった……。


7巻でジェードリ編が完結し、さあ、懐かしのエルデンヘ! と思いきや、これはまた、えらい話をもってきたものです。
プロローグ、本編、エピローグの3つにしか分かれていなかったため、目次の時点でちょっとおかしいと思っていたのですが、まさかここまでするなんて。
「誰も予想できない」「驚きの」「新章」であることは確かですけどね。


プロローグでマリアとサフィニアの会話にニヤニヤして、いざ本編に突入してみるといきなり謎の世界。
とりあえず語り手がアジアンだということは分かったけれど、ここがどこでいつなのか、さっぱり分からない。
分からないままに話は進んで、そのうちに何やら見覚えのあるキャラたちが登場。
遂にマリアまで出てきた時には頭が痛くなりました。
現実ではないというのはまず正しいんだろうけど、夢なのか、想像の中なのか、過去なのか、未来なのか、不明なままにストーリーが展開していくので、読んでいてずっと気持ち悪さというか、ストレスを感じました。
この作品はもともとページ数も文字数も多いので読むのに時間がかかるのですが、今回は今までにもまして時間がかかってしまいました。


しかしこれ単体でひとつの物語として見れば楽しかったし、興味深い部分が多かったのも確かです。
アジアンは弱いところを見せながらも格好良かったし、クラニィはいい兄さん役だったし、ダリエロの悪役っぷりも良かった。
あくまで「薔薇のマリア」の一部として見るなら、昼飯時のメンバーたちの様子とか、アジアンの思考あたりが見所だったと言えるでしょうか。
それにしても、本当、アジアンのマリア愛は凄まじいなあ。


エピローグは素敵でした。イラストもいい仕事してますね。
結局1冊全部が導入編……と言っていいのかどうか、そのようなものに費やされました。
ここからどうやって次の巻につながるのか、むしろどうやったらつながるのか、楽しみなところです。
ZOOがほとんど登場しなくて寂しかったので、次はZOOが活躍してくれるといいなあ。