まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

薔薇のマリア 11.灰被りのルーシー

  • ストーリー

父を追ってひとりエルデンへとやってきたルーシー。
悪漢にさらわれそうになったところをマリアに助けられ、トマトクン邸に滞在することになる。
お金も行き場もないルーシーを、アンダーグラウンドでの練習に誘うマリアたちだったが……。


ここに来て大型新人・ルーシーが登場。今回はルーシー視点で進みます。
なんの当てもなくエルデンにやってきたルーシーが、ZOOのメンバーに助けられ、様々な挑戦と失敗をしつつ、自分の居場所を見つけていくお話。
このルーシー。綺麗な容姿といい、すぐに落ち込むところといい、初めの頃のマリアを彷彿とさせるキャラになっています。
そのマリアが今ではすっかり頼れる先輩という感じでルーシーを指導しているのだから、マリアの成長っぷりには改めて目をみはってしまいますね。


思えばマリアは初めから侵入者だったけれど、ルーシーは全くの未経験者。
感覚はまだまだ一般人に近く、その目線から見た侵入者という職業は、やはりとても異質に映りました。
ZOOのメンバーは、マリアでさえ侵入者としての素質を持っているわけで、そうでない人々もエルデンには溢れている。
そんな侵入者になりたくてもなれない人々が、どのようにして日々を過ごしているのか。そんなことを考えさせられました。
ルーシーは色々なことに挑戦しています。その体験を通して、今までは見えてこなかったエルデンの新しい顔や、人々の生活が見えてきてとても興味深かったです。
さすがに皿洗いは予想外でしたけどね。あとおじいちゃんトリオは格好良すぎる。


初めはおとなしくてひかえめな性格に見えたルーシーですが、意外と熱いところや俗っぽいところがあって面白い。
マリアはともかく、ユリカやサフィニアにまでときめいてるし。
まあそんなところにも思春期の若々しさやパワーを感じるのですけれど。
一方で沈むときにはとことん沈んだり、戦いの時に妙なテンションになったりと、危うい部分もたくさんあって、色んな意味で放っておけない。
マリアに似たところがありつつも、今までのZOOにはいないキャラをもったルーシーは、最近落ち着いてきたZOOに舞い込んだ新しい風です。
他のメンバー、特にマリアとの関係はこれからどうなっていくのか。見物ですね。


最後の最後に出てきたのは、まさか、まさか。
あの悪夢がまた蘇ってしまうのでしょうか。その時ルーシーの運命は。ああ、気になる。


BUNBUNさんのイラスト、これはいかん。
寝ぼけマリアに苦笑ユリカ、キラキラサフィニアの破壊力たるや、もう大変です。