まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

薔薇のマリア Ⅶ.SINBREAKER MAXPAIN

薔薇のマリア〈7〉SINBREAKER MAXPAIN (角川スニーカー文庫)

薔薇のマリア〈7〉SINBREAKER MAXPAIN (角川スニーカー文庫)

  • ストーリー

仲間の死に打ちひしがれるZOOの一行。そんな彼らのもとに、思わぬ訪問者が現れた。
示されたわずかな希望を胸に、ゲヘナ聖堂への決死の潜入作戦が決行される。
そして遂に、血塗れ聖堂騎士団との戦いに終止符が……。


海の街・ジェードリ編が完結。今回も各章で視点を変えつつ展開していきました。
これだけ多くの登場人物がそれぞれの事情と思いを抱えている。そう思うと、この物語世界の深みを改めて感じます。
それらの人々がひとつの結末に向けてどんどん収束していくこの感覚。この感覚が心地良い。


カタリがいないだけでこんなに寂しくなるなんて。
いつも半魚人半魚人とからかわれていた、恐らく読者もギャグ担当扱いをしていたであろう、カタリ。
しかしそんなカタリだからこそ、いざいなくなってみると、そこに開いた穴がとても大きく感じられる。
なんだかんだ言いつつもみんなカタリが大好きだったんだなあということが伝わってきました。
特にマリア。
全然素直じゃない彼ですが、今回、マリアはカタリのために泣いて、カタリのために戦いました。
ただ悲しむだけではなく、もう駄目じゃないかという時でも前を向いて、まだできることを探しました。
本当に強くなったなあと実感します。思わず胸が熱くなりました。


他のメンバーも素晴らしい活躍を見せてくれました。特にパンカロ・ファミリーはいい味を出してましたね。
その筆頭は、あまりに大きな損失を乗り越えて、ちょっとだけ頭領らしくなったチーロ。
ひとりでは駄目かもしれないけれど、カルロと共に新たな時代を築いていくことでしょう。
ファミリーともZOOとも別に、今回一番大きな働きをしたかもしれないのがジョーカー。もう、卑怯なくらいに格好良かったです。
クローディアとの話もいつか読みたい。


話がどんどん壮大になってきています。
謎はまだまだ深まるばかり。トマトクンの正体も本格的に気になりはじめました。
その根幹に関わりそうな新キャラも登場したことだし、次のストーリーで少しは語られるといいなあ。


リクとルカに幸せあれ。