まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

薔薇のマリア Ⅰ.夢追い女王は永遠に眠れ

  • ストーリー

マリアがクランZOOに入って2巡月余り。次の目標はアンダーグラウンドD9、“喪神街オレストロ”である。
目的は前回手に入れられなかった魔導王時代の武器、焼きつくし刺し貫く剣“劫火”。
なんとしても劫火を手に入れたいマリアローズを筆頭に、勇んでダンジョンへ突入した一行だったが……。


本編第1巻。初めから複雑な設定がどんと出てきます。
Ver0から読んだのでなんとかなったとはいえ、なかなか読むのが大変でした。
これを最初に読んだ人はさらに苦労したんでしょうね。
読みにくいといえばそうなのですが、慣れれば大したことはないし、緻密な設定がある分だけのめり込めるというものです。
そんなこともあってページ数のわりにかなりのボリュームを感じました。
勢いに乗ってどんどん進むタイプの作品ではなく、重厚にゆっくりとストーリーが展開する作品のようですね。


1冊のほとんどをダンジョンに費やしていたような印象があります。
常に死の危険と隣り合わせで、次の瞬間には誰かが死んでしまうかもしれないという緊張感と怖さがリアルに感じられました。
普通は主人公たちが死ぬわけはないとたかをくくっていられるのですが、この作品の場合死者の蘇生が許されているため、本当に誰が死んでもおかしくはないんですよね。
まあそれでも蘇生はできるわけだし、死自体への怖さは逆に薄れているのかもしれませんが。
このあたりにはやはりゲームっぽいところがあると思います。


Ver0に比べ、マリアローズが著しい成長を遂げていて嬉しくなりました。
自分にできないことは割りきって仲間を信じてまかせ、自分にできることをやる。時には指揮官のような役目まで果たす。
孤独に戦うことしか知らなかったマリアでしたが、もう立派にクランZOOの一員としてはたらいています。
ツッコミ役としても貴重ですね。カタリには少々厳しすぎるような気もしますけど……。


謎を呼ぶ謎、伏線に次ぐ伏線。
一応最後で話が一段落したとはいえ、まだまだストーリー上の謎は尽きず、正直少し消化不良気味です。
まあまだ先は長いことだし、これから少しずつ解消されていくのでしょう。


サフィニアの呪文、地味に韻を踏んでいたりしてなんか好きです。