まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか3』感想

お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか3 (ファンタジア文庫)

ストーリー
庄川さんの妹、真琴さんは魔光少女じゃない。(一般人!)彼女の恋を成就させるため、夏休みの旅行でもフォロー命な僕。水着に花火に肝試し、夏の定番イベントでいつも通りフォローは完璧! ……と思ってたら、魔光少女二人の方はいつもと違う様子。庄川さんと好乃さんからの『特別』発言によって僕らの関係に大きな変化が訪れて――。「平地くん、今度は……私から。進もうと、思うの」「ツネちゃんはさ、恋してる相手っている?」……はい? 修羅場? いやいや、お助けキャラを奪い合うわけないじゃないですか。無自覚包囲の勘違いラブコメ

繰り返される誤解や勘違いから次々と笑いを生み出すすれ違い系ラブコメディ、第3弾にして完結巻。
最後の最後まで頑固なまでに自分と女の子たちとの恋を認めようとしない平地には、もはやため息も出ませんが……勇気を出した彼女たちの勝ち。
こんがらがった勘違いが解けていくのはやっぱり見ていて気持ちのいいものだけれど、こういう結末を迎えたことである意味一番の被害をこうむったのは里崎かな!(自業自得である)


真帆と好乃からそれぞれ告白めいた台詞を言われつつも、またいつもの勘違いで勝手に納得しようとする平地。お前の頭ほんとどうなってんの……恋愛回路だけぶっ壊れてんのか。
真帆は好乃のことが、そして好乃は真帆のことを意識して、お互いに平地へのアプローチを加速させていく展開が実にラブコメ的でよろしい。
合宿でダブルヒロインそれぞれから唇を狙われる主人公とか実に絵になるじゃないですかー! 普通に行くと物怖じしない好乃の方が真帆を圧倒しちゃいそうだけれども、魔光少女がドキドキすると怪人が出てきちゃうという追加設定のせいで、絶妙なタイミングで怪人に邪魔をされまくっていて不憫ながらも笑えます。


好乃は何もかもが基本高スペックだし、人間的にもできているやつだし、恋愛も押せ押せだし、非常に魅力的なヒロインです。
一方の真帆は、好乃と比較してしまうと何もかもが一歩落ちてしまう印象がどうしてもある。僕個人的にも、純粋にヒロインとしてどっちが好きかといえば好乃を推したい。
でも恋愛の行方は人間のスペックで決まるわけじゃないし、好乃は他に幸せになれる道がいくらでもありそうだけれども、真帆は平地以外の相手がちょっと想定できないというところもあって、自分が三角関係の真ん中にいることにようやく気付いた平地が最終的にどちらを選ぶのか、かなり最後の方まで分かりませんでした。まあ、納得の結末といえるでしょう。
それから、真琴と空橋もなんだかやたらいい味わいの恋を見せてくれて、ちょっと胸がきゅっとしちゃいました。こうしてみると、真琴はいいキャラクターだったな……。彼女にはぜひとも諦めずに頑張って欲しいですね! この感触はきっといけるって!
延々キャラクター陣のすれ違いを見せられてきたので、あちらでもこちらでも、ようやく思いが通じ合ってくれてめちゃくちゃスッキリ。すれ違いコメディって楽しいけど疲れるんだよね……。最後まで一人相撲に興じていた里崎に関しては、まあお察しくださいということで(笑)。
新人賞ながらきちんとギャグで笑わせてくれる楽しいラブコメ作品でした。次回作を楽しみにしています。


サンオイル待ちの好乃さんのイラストがえっちすぎる……。