まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

きゅーきゅーキュート!14

きゅーきゅーキュート! 14 (MF文庫J)

きゅーきゅーキュート! 14 (MF文庫J)

  • ストーリー

魔界の城に幽閉されたキュートを助けだしたものの、王家直属の騎士団に取り囲まれてしまった理刀たち。
絶体絶命の状況で助けに入ったのは、一度は王家の命に従ったはずのフォンターナ家のお姉さまたちだった。
なんとか逃げ延びた一行は、お姉さまたちと共に、王家からキュートを守り抜くことを決意する……。


本編14巻、外伝3巻にわたって続いたこの作品も遂に最終巻。
なんだかんだで思い入れの深い作品だっただけに、胸にぽっかりと穴が開いたような気分ですけれど。
きちんとこの物語が終わりを迎えることができて、またその終わりに立ち会うことができて、本当に良かった。


完璧に追い詰められてしまった理刀たちの前に突如現れたリイザ姉様、カカ姉様。これを待っていました。
ああ、これほどまでにリイザが輝いて見えたことがあったでしょうか。
相手に回すと本当に……ええ、いつもいつも本当に……厄介なお人でしたけど、いざ味方になってみればなんという頼もしさ。
そしてとどめに、主役は最後に登場するものよと言わんばかりに悠々と{魔界の至宝}が降り立ったときには思わず身震いしてしまいました。
この圧倒的な存在感をご覧あれ。スキュース姉様、やっぱり大好きなんですよ。ひとりだけ段違いで格好良いんだもんなあ。
出だしから三姫士勢揃いのバトルとか、正直たまりません。お姉様方最高だよ!


みんなの力で救い出され、守られているキュート。
自分のせいでたくさんの人たちに迷惑をかけてしまっていると感じ、思い悩んでしまいます。
そんな彼女に笑顔をもたらしてくれるのは、やっぱり理刀やスイートをはじめとした仲間たちでした。
迷惑とかそんなのじゃなくて、みんながキュートと一緒にいたいからやっていることなんですよね。
キュートは本当に幸せものです。こんなにもたくさんの人から大切に思われて、愛されているのですから。


キュートを解放するためのラストバトル。王家と公爵家が真正面からぶつかりました。
王家に忠誠を誓った公爵家が、ちっぽけな末の妹のために全力を尽くす展開が非常に熱い。
これでこそ最強の一族。これでこそフォンターナ。十傑はずるいくらいに格好良くて、この10人を描いた話が読みたいくらい。
戦いの中で、スキュース姉様の秘めた優しさが垣間見えて思わずぐっときてしまいました。
スワン姫とのやりとりもとても良かったですね。親友同士、お互いに譲れないものがあるのです。
もちろん、黒媛や巴、スイートに百香といったレギュラー陣も大活躍します。
特に黒媛と巴のタッグは最高でした。巴ちゃん、いつの間にこんなにいい女になっていたのやら……。


遂に蘇った真打ち・ツェデュヴィーラがまた圧巻でした。なんでこんなに魅力的なキャラクターばかり出してくるのかなあ!
結末はちょっと意外なものだったけれど、理刀が自分で自分の道を選ぶことができて良かったです。
誰も気付かない中でスイートだけが全て分かっているというのもまたにくい演出ではありませんか。
最終的に誰が彼を射止めるのか、結局分からずじまいだったけれど、とりあえずみんな幸せということで、この作品らしい終わり方だったと思います。


愛しいキュートの物語もこれにて終幕。最後までドタバタと走り抜けてくれました。
予想外の展開に驚かされたり、甘々なラブコメにニヤニヤしたり、色んな楽しさが溢れる作品でした。
突っ込みどころも多かったけれど、やっぱり大好きです。出会えて良かった。
野島けんじ先生、武藤此史さん、ありがとうございました。次回作も楽しみにしています。


スキュース姉様と10年間……よろこんで!