まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『ファイフステル・サーガ2 再臨の魔王と公国の動乱』感想

ファイフステル・サーガ2 再臨の魔王と公国の動乱 (ファンタジア文庫)

ストーリー
「許せないわ。わたしたちの結婚式であなたを殺すなんて」フライスラント軍の撃退に成功したカレルだが、その武勲とセシリアとの結婚を快く思わない何者かの暗殺が計画される。「こうなったら未来を変えるべく行動するしかない」犯人の手がかりを求めてカレルはドワーフの国へ向かうが、黒幕の策略はすでに二重三重に仕掛けられていた! そして公国に広がる動乱は、二人の英雄を引き合わせることに! 「カレル、おまえにはせいぜい苦労してもらうとしよう。なに、少しぐらいなら手伝ってやる」カレルとヴェッセルの邂逅は歴史を大きく動かす――!

自らの死を夢見るという聖女の力を用いて、何者かが仕掛けてきた暗殺計画に対抗していく、気鋭の戦記ファンタジーシリーズ第2弾。
今回も順調に面白かったです。何かと敵の多い苦しい立場の中、ヒロインをはじめとした仲間たちの助けと自身の知略とでギリギリ生き抜いていく主人公の姿が熱い。
次期公爵という責任があるからというだけでなく、こんなに素敵な婚約者を奪われてなるものかという卑近な執着心なんかもちゃんとあって、そんな主人公に好感が持てます。


前回に引き続き隣国フライスラントとの戦争が描かれる……のだけれども、敵は外だけでなく内にも迫っていた!
最強の傭兵団の団長とはいえ、いきなり平民が公爵になろうとしているのだから、そりゃ快く思わない人間もいるわけで。想定内といえば想定内なのかもしれないけれども、しかしそれはそれとしてむかっ腹は立つよね(苦笑)。
まあカレルのやり方も、人質に取った王姉の妊娠の噂を流すとか、決して綺麗なやり口ばかりではないんですが、かといって主家を裏切るほどでもあるまいに……。あちらを立てればこちらが立たずという具合で、フライスラントの侵攻を防ぎつつ周囲に納得してもらうというのはなかなか難しい。つくづく、カレルの置かれた立場の難しさが思いやられる。
そんなカレルの最大の武器はやはりアレンヘムの聖女たるセシリアの夢見の力。未来の毒殺を防ぐべく、果断な決断力で物事を推し進めていくカレルは、未だ成長の途上ながらなかなかに格好良く思えました。


思わぬ大物の裏切りと卑劣な罠。窮地に立たされるカレルとセシリア、そしてアレンヘム公国。
そんな中、もう1人の主役・ヴェッセルとカレルが遂に対面を果たしました。いやあ、ヴェッセルは一見冷酷な貴族然としつつも、実はかなり人間臭いところがあって面白いキャラクターですわ。抱えている謎も多いし、出番は少なくても2人目の主役にふさわしいだけの魅力がある。
今はまだカレルの方が立場としても器としても足りていないかもしれないけれども、これからきっと長く競い合い並び立っていくのだろう2人の英雄の邂逅と思うと、なかなか燃えるものを感じました。負けるなカレル。がんばれカレル。
ヴェッセルの助言もあり、追い詰められた状況から一気呵成に反撃に打って出るカレルと《狂嗤の団》は、見ていて大変に痛快でしたね! 特にやっぱり「歴代最強」コルネリウスが群を抜いてクールでした。この強さとこの顔で唯一の弱点がこれとか、ちょっとズルいのでは? いやーこいつ好きですわー。
次はまた新たな戦いが待ち受けているようで、ファンタジー世界がどんどん広がっていくのがとても楽しみ。あとミーリエルのさらなる活躍を期待してます!


早く! 「具体的なシーン」の続報を早く! ください!!(血眼)