まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

“夕顔” ヒカルが地球にいたころ……(2)

  • ストーリー

ヒカルが是光に示した次の“心残り”の相手は、内気な引きこもりの少女・夕雨だった。
ところがヒカルは、彼女と是光を会わせたきりで約束の内容を教えてくれようとしない。
そんなヒカルを気にしながら夕雨と過ごすうち、徐々に放っておけない気分になる是光だったが……。


ハーレム皇子が生前に交わした約束を代理で果たしていくミステリックラブストーリー第二弾。
今回のヒロインはとある理由から不登校になり、家から一歩も出ない生活を送る引きこもり少女・夕雨です。
残念ながら1巻でのヒロインだった葵はほとんど登場しません。
あんな極上の女の子からあっさり離れて、また新しい(それもこれまた特級の可愛らしさなのです!)女の子を出してくるとか、なんてぜいたくなシリーズなんでしょうか。


相変わらず是光のお人好しっぷりが光っていましたね。
いや悪い意味ではなくて、ほんとに凄いと思うんですよ。
いくら誤解の目で見られることに慣れているとはいえ、今回はヒカルの殺害容疑者とまで疑われています。
そんな中でも疑惑が広がるのを恐れずに、他でもないヒカルのために、そして夕雨のために走り回れる是光は実に格好良い。
やり方はどうしようもなく不器用で、見ていて危なっかしくてたまらないのだけれど、そんなまっすぐな彼だからこそできることがある。
全く、ヒカルはいい人選をしたものです。ヒカルにはできないことをやってのけるパワーが是光にはあるのですから。


少しずつ距離が近付いていく夕雨と是光のやりとりが素晴らしかったです。
何も言わないヒカルに苛立って、無茶なやり方で夕雨を傷付けてしまい、自分も傷付きながらも、彼女の心を解いていった是光。
そして自身の胸には、今まで感じたことのなかった不思議な熱さが……。
恋の芽生えとはこんなに息苦しくて切なく突き刺さるものだったでしょうか。
ああ、なんて素敵なんだろう。恋を知らないふたりのぎこちなさがとても愛しくて、どこか淋しい。
胸を締め付けるような、それでいて温かさに満ちたラストシーンがたまりません。
本当に、この巻だけでひとつの作品にしちゃってもいいんじゃないかと思えるくらい、熱くて美しい恋物語でした。


で、またこんな続き方をしてくれちゃって。続きが気になって仕方ないのですが。
次巻は待ちに待った“若紫”編で、それだけでもわくわくが止まらないというのに。
今回も健気な想いが魅力的だった帆夏や、なんとまあ、あの葵まで参戦してくるというのですか。
恐らく生涯初めてであろう恋愛のごたごたに、是光がどんな風に感じ、行動していくのか、今から楽しみです。


とりあえず巻末予告の若紫ちゃんが可愛すぎて居ても立ってもいられません。なでなで。