まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ダンタリアンの書架8

ダンタリアンの書架8 (角川スニーカー文庫)

ダンタリアンの書架8 (角川スニーカー文庫)

  • ストーリー

ある日、カミラがお土産に持ってきた缶入りクッキー“ロゼッティ”。
缶の中にはクッキーの他に、「7」と数字が付けられた小さな絵本が入っていた。
全部で8種類あるというおまけ絵本を揃えるため、ヒューイを連れて町に出るダリアンだったが……。


第一話「王の幻書」では久しぶりにヒューイたちとハルたちが対峙しました。
全て見透かしているようなヒューイと、いちいち人間くさいハルの違いが楽しいんですよね。
ヒューイは何を考えているのか分からないようなところがあるのですが、その分ハルが分かりやすくてバランスがいい。
ハルだけなら結構格好良かったりもするんですけどね。一緒になるとかませ犬のような雰囲気になってしまうのはなぜでしょう。
ダリアンとフランの両方から言葉攻めに合っているハルがおかしくて仕方ない。フランも大概いいキャラしてるなあ。
キャラ同士のやりとりはそんな具合に愉快な回でしたが、お話自体は相変わらず重めです。
この幻書の正体ですが……ここまで来ると本なのか本でないのか怪しいもんですね。
ある意味もう何でもありの様相を見せてきましたが、それだけ広い可能性を秘めた作品だということなのかもしれません。


第二話「最後の書」はダリアンが絵本のコレクションに奔走するお話。
読みながら「わかる、わかるぞ!」としきりにうなずいてばかりでした。どうして集めたくなってしまうんでしょうね。ほんとにね。
本に対しては基本的に冷静なダリアンが、大衆と一緒になって振り回されているのが新鮮で面白かったです。
まったく、ダリアンは毎回新しい魅力を見せてくれるなあ。
この解決法。コレクターにとってはむしろこちらの方が普通なのかとも思いますが、やっぱり自分で引き当ててこそ嬉しさがあるものなんじゃないかな!(破滅する人の思考パターン)。


第三話「永き黄昏のヴィネット」では怪盗ミスリルとヒューイが対決。
シューラさんのことを全く覚えていなくて、前の巻を引っ張り出して確認しなければいけませんでした。ごめんシューラさん。
この作品、短編がいくつも入っているせいか、ゲストキャラが本当に覚えにくいんですよね。ほんとごめん。
ミスリルは魅力溢れるキャラですね。本当に誰にでも変装できる怪盗。素晴らしい。
そんなミスリルの変装を見事に見破るヒューイの観察眼もまた凄い。この人の頭は一体どうなっているのやら。
ヒューイの良きライバルとしてこれからも活躍してもらいたいものです。


今回は断章なし。ちょっと残念。
次巻ではラジエルの「ばかみたい、ばっかみたい」を拝めるといいな。
教授とラジエルのコンビは他に比べてあんまり好きじゃないのですが、いないとそれはそれでなんとなく物足りないんですよね。
アニメも始まりました。そちらも楽しく見ていきたいと思います。


遂にハルにも春が来たかと思ったら……ああ……。