まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

問題児たちが異世界から来るそうですよ? あら、魔王襲来のお知らせ?

  • ストーリー

【打倒!魔王!】を掲げた弱小チーム“ノーネーム”に届いたのは、北の“火龍誕生祭”への招待状。
東のフロアマスターである白夜叉から参加を要請されたのだ。
面白そうなにおいを感じ取った問題児たちは、黒ウサギを置いて勝手に出かけることにするが……。


表紙のとおり、飛鳥お嬢様大活躍の巻。
1巻でも頑張っていたけれど、良いところは全部十六夜に持って行かれていたので、飛鳥押しの私としてはちょっと物足りない感もありました。
改めて、彼女も十六夜と並び立つ主役のひとりなんだということが確認できて嬉しいですね。


今回問題児たちに立ちふさがるのはグリム童話ハーメルンの笛吹き」の魔王と、そのコミュニティ。
それぞれの伝承に基づいて相手の正体を見破ったり、実際に様々なギフトと戦ったりするのは実に楽しそうに見えます。
まあ、本人たちは命を賭けてやっていたりもするわけですが。その点問題児3人は余裕があるというか、なんというか。
飛鳥は高飛車に見えますけど、普通に優しくて人当たりの良い子ですよね。
無口な耀とも仲良くやっているし、偶然出会った妖精と友だちになって守ったりもしているし。
その優しさが結果的に終盤の活躍につながるわけで、もしかしたら彼女の最大の武器は、支配のギフトなどではなくてこの優しさなのかもしれませんね。


もちろん、活躍しているのは飛鳥だけではありません。
吸血鬼レティシア様も、本来の姿(?)でその力の一端を見せつけてくれました。
これでもまだまだ魔王だった頃には及ばないんですよね。いつか彼女の本領を見てみたいものです。
ああでも、ビジュアル的には普段の姿の方がずっといいと思います! クレープを食べているレティシア様が可愛くて可愛くてもう。ちっちゃく見える牙がポイントです。
そしてそして。あの黒ウサギさんも遂に本格的にバトルに参加しました。
箱庭のルール上なかなかゲームには参加できない黒ウサギですが、その理由が垣間見えたような気がします。
色々と桁が違いすぎる。神仏のギフトを使ってやりたい放題やってます。これが箱庭の貴族か!
十六夜といい勝負ができる時点で気付くべきでした。ただのお色気要員じゃなかった。いや、もちろんそちらも重要ですが。
で、十六夜です。もうこの人に関しては何も言わないでいいんじゃないかな。
地殻変動に比する力を前に」「拳一つで立ち向かう」人をどんなことばで言い表したらいいのかよく分からないんですけど。
頭の冴えも相変わらずでした。耀も言っていましたが、十六夜がどんな頭の仕組みをしているのか見てみたいものです。


どこまでも無茶苦茶で破天荒なバトルはとても面白いのですが、謎解きの部分は、なかなか頭が追いつかない部分が多くて大変でした。
箱庭のルールや世界の作りなんかもそうですけど、もうちょっと描写を分かりやすくして欲しいかなあ。
境界壁とか、なんとなくこんなもんかな、というぼんやりとしたイメージしか持てないことが結構あったように思います。
まあ、そもそも地形は巨大すぎるスケールだし、十六夜の頭の回転も異次元レベルだろうしで、私たちでは理解の及ばないところなのかもしれませんけれど。
深いことを考えず、流されるままに楽しむのがひとつの正解でしょうね。


黒ウサギ、飛鳥ときましたから、次の表紙は耀を期待してもいいんですよね!
耀は今回それほど出番がなかったので、次巻ではきっとメインを張ってくれるものと信じています。
だんだん力をつけつつある“ノーネーム”の発展やジンの成長も楽しみなところです。


サンドラの再登場を激しく希望。白夜叉といい、強いロリキャラはいいものですね。ほんとに。