まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『虫かぶり姫』感想

虫かぶり姫 (アイリスNEO)

ストーリー
クリストファー王子の名ばかりの婚約者として過ごしてきた本好きの侯爵令嬢エリアーナ。彼女はある日、最近王子との仲が噂されている令嬢と王子が楽しげにしているところを目撃してしまった! ついに王子に愛する女性が現れたのだと知ったエリアーナは、王子との婚約が解消されると思っていたけれど……。事態は思わぬ方向へと突き進み!? 本好き令嬢の勘違いラブファンタジーが、WEB掲載作品を大幅加筆修正&書き下ろし中編を収録して書籍化!!

本が大好きな令嬢が、婚約者の王子と他の令嬢が仲良く談笑している姿を目撃してしまうところから始まるすれ違いファンタジーブコメディ。
ずっと本のことしか興味がなかったはずなのに、名ばかりとはいえ長い間婚約者だった王子に好きな相手ができたらしいと知って胸を痛める主人公の姿が切なくてキュッとするー!
全て解決してからの日々は甘々メロメロかつ微笑ましくてとっても良かったです。ごちそうさまでした。


本が好きすぎて、本の虫→虫かぶり姫と揶揄されている侯爵令嬢のエリアーナ。王宮書庫の本を読みたいがために王子の婚約者になって4年、彼がある子爵令嬢と楽しそうにお話をしている姿を見て、ついにその時が来たのだと思うところから物語はスタートします。
基本的に自己評価の低いエリアーナさんなので、彼女視点だと自分には全く魅力がないし、王子とは釣り合わないし、新しいお相手は派手で可愛らしいし、なんだか王子の側近たちも最近よそよそしいし……と、どんどん追い詰められていく感じで読んでいて苦しいし切なくなりました。
まあ言ってしまうと全部勘違いなんだけど、でもこれは王子もちょっと悪くない? フォローが足りなくない? こっちは超絶鈍感レディなんですよー! と叱りたい気分でした。まあエリアーナに本を突っ返されてめっちゃショックを受けてたみたいだから勘弁してやるか。


周囲から見たエリアーナは、浮世離れした魅力的な令嬢です。本から得た広範な知識と聡明な視点とを持ち合わせていて、多少の物事には動じない独特の感性や妖精のような容姿も相まって、なんというか特別な女の子感がすごい!
王子と出会った当初は本当に本のことしか考えていないような女の子でしたが、そんな子がいつの間にか、ショックでもらった本を返しちゃうくらいに王子への想いをふくらませていたという事実にきゅんきゅんしてしまいますね。
こうなってしまうともはや二人の間に障害はないような気もしてきますが、ここからどんなドラマが待っているのか楽しみですね。


テレーゼ嬢が気になります。