まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『完璧すぎて可愛げがないと婚約破棄された聖女は隣国に売られる 1』感想

完璧すぎて可愛げがないと婚約破棄された聖女は隣国に売られる 1 (オーバーラップノベルスf)

ストーリー
代々聖女を輩出する家系に生まれたフィリア。幼少からのスパルタ教育により、歴代最高の聖女と呼ばれるようになった彼女は、第二王子ユリウスと婚約する。しかし、完璧すぎて可愛げがないと、フィリアはユリウスに婚約破棄されてしまう! さらには、聖女のいない隣国へお金と資源を対価に新しい聖女として差し出され、故郷から旅立つことに――。悲惨な待遇を覚悟していたフィリアだったが、そこで待っていたのは予想外の大歓迎! フィリアはその状況に戸惑いつつも、魔物被害には結界、流行り病には新薬の作成と、聖女の力を発揮し様々な問題を解決していく。そうして、隣国でも活躍するフィリアは、過去の文献から魔物の大量発生を予見。周囲の人々と協力し、早々に対処へと動くことで、国を守ることに成功する! 一方、彼女を手放した故郷は破滅の危機にさらされていて――!?

有能すぎる聖女が婚約破棄されて隣国に売り飛ばされたら八面六臂の大活躍で国どころか大陸を守っちゃう追放ファンタジー
主人公と妹の有能姉妹っぷりがすごい。そして両親と第二王子の極端な無能っぷりが輪をかけてすごい(ひどい)。
国境を超えてお互いを思いあう姉妹愛に胸が温かくなるお話でした。


聖女の術である結界だけではなく、新しい薬を開発したり農業の研究をしたりと、もはやなんでもできちゃう歴代最高の聖女フィリア。そんな万能の天才を隣国に売り渡しちゃうアホンダラがどうやらこの国の第二王子らしくて、なんていうかこの手の作品を読むたびに思うけれども、悪役の無能っぷりが天元突破してるよね……。
新鮮に感じたのは、残された聖女である妹ミアがちゃんと才能もあるまともな感性の持ち主だったことですね。あの残念な両親に甘やかされてきたのによくまっすぐに育ってくれたもんだ。
フィリアのおかげでどんどん国の問題が改善されていく隣国パルナコルタと、ミアが奮闘するけれども事態はどんどん悪化してゆく故郷ジルトニア。両国の対比が改めてフィリアの卓越した凄さを(あとアホンダラのアホンダラぶりを)感じさせてくれます。


才能をようやく評価されたフィリアのパルナコルタでの生活は順調で、後半に関してはむしろミア視点の方が主人公っぽい孤軍奮闘、波乱万丈なストーリーでした。
国の危機に対して何も考えてない第二王子や金のことしか考えてない両親に呆れつつ、魔物との戦いの前線に立ったり引きこもりの第一王子を叱咤したり。もしもミアが残ってなかったらこの国本当に破滅してたのでは??
大変な状況に置かれていても姉の心配をするミアと、窮地に立たされている妹を救いに行きたいフィリア、離れ離れになりながらもお互いのことを思う姉妹の姿にほっこりしました。
姉妹愛が素敵だった一方で、フィリアとパルナコルタの王子との恋愛は正直あんまりピンとこなかったかな。普通にいいやつなのは確かだけれど、もう少し他とは違う魅力を見せてくれないとフィリアは渡せませんな!(親戚のおじさん顔)


推しは断然グレイス嬢。