まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する 1』感想

ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する 1 (オーバーラップノベルスf)

ストーリー
「リーシェ! 僕は貴様との婚約を破棄する!!」
「はい、分かりました」「えっ」
20歳で命を落としては婚約破棄の瞬間にループしてしまう公爵令嬢リーシェの人生は、7回目を迎えていた。過去の人生、商人や薬師、騎士などの生き方を満喫してきたけど、今度の人生こそ長生きしてごろごろしたい! 決意して飛び出そうとしたところ、とてつもない美丈夫とぶつかってしまう。その男性は、数年後に戦争を引き起こし、リーシェが死んでしまう要因を作り出した皇太子アルノルトだった!? さらに、騎士人生で培った立ち振る舞いを気に入られたのか、彼から結婚を申し込まれて――!? 自分の死の原因であるアルノルトを探るため、リーシェは求婚を了承する。ごろごろしたい決意とは裏腹に、過去の人生で得た経験を発揮し注目を浴びていくリーシェは、果たして7回目の人生を生き残れるのか……!?

20歳で死に15歳の婚約破棄時点に巻き戻るというループ人生を7回も送っている令嬢が、将来戦争を巻き起こす皇太子に嫁いで敏腕を発揮していく強くてニューゲームなファンタジー
商人だったり騎士だったりといった過去の人生での経験を存分に使って周囲を驚かせてゆく展開がとても楽しいですね。
危険人物であるはずの皇太子との先の読めない恋愛も緊張感があってドキドキします!


15歳で婚約者の王太子から婚約破棄を受け、20歳に何かしらの理由で命を落とす、そんな人生を過去6回も送ってきたタイムリープ系公爵令嬢のリーシェ。そんな彼女は7回目の人生で初めて、軍事国家の皇太子アルノルトから求婚を受ける事態に。
過去の人生で商人や騎士や侍女や薬師と色んな経験を送ってきたなのか、リーシェは公爵令嬢でありながらとてもアクティブかつフリーダムで楽しい主人公ですね。思いもよらない行動で何度もワクワクさせてくれました。
それぞれ5年間の経験しかないはずなのにこれだけ色々とものにしているのだから一種の天才なんじゃないかと思うんですが、それを感じさせない妙な天然さがまたいい。5年間騎士をやっただけでこんだけ動けるの凄くない?


一方、過去の世界では父を殺して皇帝となり、さまざまな国に戦争をしかける残虐皇帝となっていた皇太子アルノルト。確かに多少冷酷そうな部分もあるものの、突飛なリーシェの姿を見た途端に面白がって求婚しちゃうような姿からは、とてもそんな未来は想像できません。
彼がなぜ戦争を起こすことになるのか、過去の人生でもその答えを知り得なかったリーシェ。だからこそ彼のことを知ろうとして、まっすぐにアルノルトと向き合うリーシェの姿がとても尊くていい。
なんてったって前世で自分を刺して殺した相手ですからね……。普通はお近づきになりたくないと思うんですけど、特に恨みも憎しみもなく、今のアルノルトを見ることができるリーシェは実に理性的だと思います。
リーシェはアルノルトが戦争を起こすという未来を回避に導くことができるのでしょうか。SFミステリー的な読み方も楽しんでいきたいところ。


お嬢様が侍女のフリをして紛れ込むやつ、定番だけど好きなんだよな……。