まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱く VII〈上〉』感想

死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱くVII〈上〉 (オーバーラップ文庫)

ストーリー
亡者の出現により、王国の命運を賭した“暁の連獅子作戦”は失敗となった。オリビアは悲願であった死神・ゼットとの再会を果たす。しかし、喜びもつかの間、ゼーニアとの決戦に向けての修行は佳境へと差し掛かっていた。一方、未だ亡者の情報を掴めていないコルネリアス、パウルら率いる王国軍は、ローゼンマリー率いる紅、天陽の騎士団を相手に決死の陽動作戦を遂行していた。戦況が敗北へと傾く中、疲弊した彼らの元にも亡者の手が差し迫る――。修行を終えたオリビアは、ゼットから戦争の黒幕を告げられた。彼らを倒して戦争を終わらせるため、オリビアは漆黒の剣を手に王国軍へと舞い戻る――。

完結巻の上巻ということで様々な人物が登場する濃密な1冊となりましたが、同時にストレスの溜まる展開や切ない別れなどが多くなかなか読むのが辛い巻でもありました。
リビアは無敵で、このまま最後まで周りの全ての人々を救ってしまうんだと思い込んでいただけに、かなり衝撃が大きいです。
リビアの活躍は最終巻までお預け(それどころかほとんど出てこない)だったのでどうしても物足りなさはありつつも、おじいちゃん組が格好良かったなあ。


帝国の突然の皇帝交代劇と、皇帝ダルメスによる亡者軍団の襲来。ゼットと再会したオリビアは戦場を離れ修行の日々へ。いやこのタイミングで修行かーい、とも思いつつ、そもそもゼットと会うことがオリビアの最大目的だったしね。ダルメスとの決戦においてオリビアが力不足だったのも確かだし。
とはいえ対処困難な亡者の軍団を前に、頼りのオリビアもなく、あちこちで崩壊してゆく王国軍の姿が切ないです。
また、節操のない軍団は神国メキアやサザーランドにも。いやー正直なところ、メキアの方はともかくとして、ここにきて登場してきたサザーランドの新キャラたちにはなんの興味も湧かなくて読むのが大変でした。あとよくわからん魔法士と妖精ですか、あのコンビも本当にどうでもいいという感想しかないんですが、最終巻で物語の根幹に関わってきたりするのかな……。


敗北が確定した戦場で、次の世代を守るために命を燃やす王国の将たちの戦いが熱い。特にコルネリアスとパウルは格別の英雄ぶりを見せつけてくれました。
ただ、やっぱり、当初からオリビアと戦いを共にしてきたような人物が次々に散っていくのを見るのは辛いな……。
そして別れは、オリビアにとってあまりにも大きなあの人物にも。オリビアがようやく人間らしい心を手に入れたここにきて、この別れはあまりにも。さすがにこの展開は読んでいなかった。
深い悲しみと大切な思い出を胸に決意を新たにしたオリビアが、最後にどれだけの大暴れをしてくれるのか。最終巻、楽しみに待っています。


エピローグのペンのくだり、切なすぎる。