まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

薔薇のマリア Ver4 hysteric youth

薔薇のマリア Ver4    hysteric youth (角川スニーカー文庫)

薔薇のマリア Ver4 hysteric youth (角川スニーカー文庫)

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マリアローズがZOOに入ってまだ間もないころ。
カタリに誘われてアンダーグラウンドへやってきた一行は、メリクルの上位種多数に囲まれていた。
そんなピンチをあっさり切り抜けてしまったZOOメンバーを前に、マリアは……。


マリアがZOOに入ったばかりの頃の冒険の数々を描いた短編集第4弾。
今までに比べると軽めでテンションの高い話が多くて、楽しく気軽に読めました。
まだZOOのメンバーに引け目を感じていたり、接し方に戸惑ったりしているマリアが懐かしいですね。今見ると微笑ましくすら思えます。
この頃のマリアはうじうじ悩んでばかりいて(まあ今も悩んでいるのだけれど)、読んでいるこちらもげんなりとしてしまう。
でもマリアはZOOのメンバーと接しながら少しずつ、でも着実に上を向いて歩けるようになっていて、読み終わってみるといつの間にか元気をもらっている気がするから不思議なものです。


マリアが成長できたのは、単純に仲間ができたからというのもあるのでしょうけど、やっぱりその仲間が素敵な面々だったからですよね。
第1話「フテクサレデイ」でのユリカの叱咤が印象的でした。
こんな風に叱られたらもう何も言えないじゃないですか。ぶった後に優しくするなんてひどい。惚れるしかない。
ZOOの中で一番格好良いのは間違いなくユリカだと思うのですが、どうでしょう。
それとカタリ。わーわー騒いでうるさいけれど、ギャグ色が強い話だと特に、ZOOのムードメーカーなんだなあというのを感じます。
マリアとカタリの漫才がどんどんキレを増していっていて面白いですね。


ユニークだったのは書き下ろしの第4話「真・鳥人ROCK」。
まさか異界生物同士の、それも異種間での恋愛が見られるなんて思いもしませんでした。イラストで思わず噴いてしまった。
結果的にはあまりよくない決断でしたけど、ここはカタリに拍手をしておきたい。
あの場面で飛び出せるカタリはやっぱり凄いと思いました。明らかに考えなしですが。
第5話「ラストサマー」は打って変わって重めの話。またもカタリがいいところを見せています。
結局少女のことを一番よく分かっていたのはアドリアンだった、のかもしれないけれど、カタリたちはこの病気の少女に、少しでも何かしてやることができたのでしょうか。
傍目からは救いがないように見えますが、少女にとってはそうではなかったのかもしれません。
いくら考えても、答えはもう出ず、色々と胸にせまるものがあります。


短編の間に入ってるミニイラストが大変キュートでした。要注目です。