まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

薔薇のマリア Ⅸ.さよならの行き着く場所

薔薇のマリア〈9〉さよならの行き着く場所 (角川スニーカー文庫)

薔薇のマリア〈9〉さよならの行き着く場所 (角川スニーカー文庫)

  • ストーリー

ZOOが留守にしていた間に、エルデンでは<昼飯時>のメンバーが姿を消してしまう失踪事件が発生していた。
元気がないアジアンのことが放っておけず、マリアは彼に協力することに。
ZOOの面々も加わって、消失したメンバーの痕跡を集めて回る一行だったが……。


嵐の前の静けさ、というわけでもないのでしょうが、緊急事態のわりには終始ゆったりしたムードの巻でした。そこかしこで愛と恋とが溢れています。
まずなんといってもマリアとアジアン。
あれだけうじうじ悩んで、さよならを言おうとしていたはずなのに、いざ会ってみるとアジアンのことが気になって仕方ないマリアがなんとも可愛い。
自分では認めないけれど、マリアの心の中でのアジアンの居場所はどんどん大きくなってきているようです。
態度もちょっとだけ変わって、逆にアジアンが唖然としているのが面白かったですね。
ユリカと飛燕はニヤニヤモードへ突入しました。
初めはどうかと思いましたが、意外とお似合いのカップルなのかもしれません。あんまり認めたくないけどな!
アジアン、飛燕、荊王、ピンパーネルをあっという間に鎮めてしまうユリカさん格好いいです。
サフィニアとトマトクンは、もう、良くも(=サフィニアが)悪くも(=トマトクンが)いつも通りですね。
少し勇気を出してみたサフィニアが可愛すぎます。でもそれと魔道を関連付けちゃうのはちょっと……、思わず笑ってしまいました。サフィニアさんごめんなさい。
他にも荊王やベティなど、複雑な人間模様は見ていて飽きません。


ZOOだけでなく飛燕や荊王までが昼飯時に協力するなんて。
色々思惑があるとはいえ、普段は別のクランに属するメンバー同士が、昼飯時のために仲間となって戦うというのがいい。熱い展開です。
敵に回すと怖かったり嫌な奴だったりするけれど、仲間としてはどのメンバーも頼りになるし、いいところがたくさん見えてきますね。
それぞれ大変な能力を持ったメンバーの中、マリアの頑張りが目を引きました。
今まで何度も思ってきたけれど、やっぱりマリアは誰よりも成長著しい。特に精神的な面でずいぶん強くなったものだとしみじみ感じます。
ラストでアジアンに言い放った言葉にはじんときてしまいました。ああもう、格好いいなあ。
敵は強大で卑劣で、先のことを考えると不安になってきますけど、マリアを初めとしてこの仲間たちがいるならきっと大丈夫。ですよね?


ヨグ・フローヨ・メイドルフ・サイケングレンマイセルヒ……ある意味で一番謎なんだけど、何者なんだろう。