まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

三千世界の英雄王 厨二じかけの学園都市

ストーリー
武術の一門で『今世最高の天才』と謳われながら、敵の襲撃を受け4年間昏睡状態にあった剣士・刀夜。
目覚めた彼は、世界中から異能者が集う学園都市《三千世界》の煉獄学園に入学する。
義姉が抱えた多額の借金を返すため、バトルトーナメント『暗黒狂宴』への参加を決意するのだが……。



4年の眠りから覚めた天才剣士が入学したのは、世界中の異能者が厨二を演じながら競う学園都市!
どれだけ異能者としての力が優れていても、厨二らしくキャラクターを演じなければ力を発揮できないという設定が、異能バトルを逆手に取ったストーリーを実現させていてなんとも愉快。
ギャグのセンスも相変わらずキレッキレで、何度も声出して笑ってしまいました。


若くして灰咲天凱流の当主となった天才剣士・刀夜。しかし敵の襲撃を受けた一門は壊滅、刀夜は昏睡状態に。
4年間の眠りから覚めてみれば、異能の法則が世界全体で変化しており、異能とのシンクロ率……つまり闇属性ならどれだけ本人が「闇っぽい」か……ということが重要になっていたのだ!
キャラクターになりきった者が勝つ……ということで、「ビジネス厨二」だらけの学園都市で最強を目指す物語の開幕です。
とにかく登場人物たちが濃い! 主人公の刀夜とヒロインの羽瑠歩流祇栖(ヴァルプルギス)は、まあわりかしマトモ(名前以外)なんですが、ふたりを取り巻く人物がことごとく変態か変人しかいない……。
義姉の氷華は弟の溺愛っぷりが異常で発情しまくってるのに生徒会長やってるし、学園長はいい年して生粋の厨二魔王だし、担任はそんな学園長の犬だし、どうなってんだよこの学園!
しょっぱなから変態たちがその変態ぶりを争う怒涛のギャグ攻勢で、読んでいてほんと楽しいです。壱日先生のコメディはやっぱり好きだなあ。あと天才剣士は突っ込みも上手いんだなあ。


学園長の陰謀により、バトルトーナメント「暗黒狂宴」へは「最弱キャラ」そして「悪役キャラ」で出場することを決定付けられてしまった刀夜。
厨二な行動ができずに劣等生となっていたヴァルプルギス、そして自分をロボットだと思い込んでいる幼女・一二三とチームを組み、厨二トーナメントへの参加を決めるのです。
厨二を強制される異能者たちの戦いは実にユニーク。異能を使って戦うのがもちろん基本なのだけれど、相手の厨二演技を崩す盤外戦術的要素もあって、大番狂わせが簡単に起こっちゃうのが面白いですね。
数少ないS級異能者であり「邪龍王」を封印した光王院……刀夜にこの男こそがライバルだと予感させた男……の試合は凄かったです。色んな意味でね! 光王院くんの邪龍王暴れすぎぃ!
何やらヴァルプルギスにまつわる謎なんかも出てきてますが、そんなことよりこのアホバトルを延々と見ていたい気分です(笑)。
最弱と悪役というキャラクターを守りつつ、刀夜たちは如何にしてトーナメントを勝ち進んでいくのか。今後の展開が楽しみです。


イラストはおりょうさん。ヴァルプルギスさんの衣装、いくらなんでもエロすぎませんか!
次は光王院のイラストもぜひお願いしたい。


「厨二概論」の授業、めっちゃ受けたいんですけど。