まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『少女願うに、この世界は壊すべき2 ~輪廻転生の神髄~』感想

少女願うに、この世界は壊すべき2 ~輪廻転生の神髄~ (電撃文庫)

ストーリー
弁財天と寿老人を退け、榮凛島の崩落を食い止めた神津彩紀と熾天寺かがり。これで平穏な生活をおくれるかと思いきや――2人の家は燃やされていた。犯人は七凶神の大黒龍僖。新たな彩皇に狙われた2人の元に、朝廷からの使者、稲名田湯津香がやってくる。
「寇魔を倒すべく協力しませぬか?」
さらに、新たな仲間を求めて人間の楽園と呼ばれる『盈水院』を統べる大僧正、毒針倶舎奈のいる寺院を目指すことに。しかし盈水院で待ち受けていたのは、嘘をつかないと、酒を飲まないと、人を殺さないと死んでしまうという、仏教の五戒を破らなければならない奇妙な町と怪しい住人たちで――。

ついに下界に降り立った彩紀とかがりが、謎めいた彩皇・倶舎奈の作り上げた怪しげな楽園に囚われてしまう第2弾。
仏教をテーマにした奇妙な舞台設定、深まる謎、ひたすら我慢させて最後に爆発するカタルシス。今回も純粋に楽しめるエンターテインメントが繰り広げられました。
ミステリアスな敵役として登場する毒針倶舎奈もなかなか魅力的で良かったです。


七凶神に対抗するために朝廷から協力を求められた彩紀。榮凛島から降りた彼がかがりと案内役の人間・湯津香とともに道すがら立ち寄ったのは、もう1人の彩皇・倶舎奈が統べる大寺院。
一度入ったら二度と出られないという掟こそあるものの、倶舎奈は人当たりのよい少女で、人々も一見幸福に満ちた生活を送っている。しかしこの寺院のことを探れば探るほど、隠された闇が明らかとなり、ここがただの楽園ではないことが次第に分かっていく。
下働きとして健気にお勤めしている優しげな少女が、死体を目にして全く動じなかったりといった、「おや?」という怪しさを少しずつ集めて怖さをかきたてていく描写が上手いなあと感じました。こうしていると登場人物がみんな怪しく見えてくる……。


楽園の裏に隠された倶舎奈の目的。そして倶舎奈も知らない黒幕の目的。全てが明らかになった時、倶舎奈に真っ向から対峙する彩紀とかがり。
倶舎奈が作ったが故に彼女こそが法である、そんな圧倒的不利の中、彩紀は絡め手を用いつつ、かがりは純粋な意思の力で、それぞれ「らしさ」を出しながら立ち向かってゆく姿が熱くていい!
それにしても倶舎奈はいいキャラしてました。とある一つの目的のためだけにやらかしてることのスケールのデカさがすごい。普通にやべー奴なんですけどどこか憎めない可愛げもあるし、やっぱり愛が重くて危険なタイプのヒロインが好きなんだわ……。
そしてそんな彼女に散々やられながらも、最後の最後では御しきれない輝きを見せてくれたかがりのヒロイン力の高さには感服しました。普段のザコみたいな言動のわりにしっかり決めるとこ決めてくるのがずるいんですわ。かがりは強くて可愛いメインヒロイン!
順調に面白さを増してきているだけでなく、今巻でもしっかりタイトル回収までやってのけている隙のなさに拍手。これは楽しみなシリーズになったなあ。次巻待ってます。


パラパラやってて気づいたけどイラストのクオリティが全体的にめっちゃ高い。