まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『嘘嘘嘘、でも愛してる』感想

嘘嘘嘘、でも愛してる (ファンタジア文庫)

ストーリー
記憶喪失の俺が目を覚ました病室には、三人の美少女がいた。平然とデレてくるクールセクシーなクラスメイト・色町紙織。スポーツ万能で密着過多なアホ可愛い幼なじみ・花屋敷花蓮。ちょいウザ素直でグイグイくるスレンダー女友だち・雪縫霙。彼女たちは俺のことが好きらしく、手作りのお弁当をあーんしてくれたり、下校中にいちゃつきながら密着してきたり、勇気を出してデートに誘ってくれたり――あの手この手で俺にアプローチをしてくる。うらやましい生活だろ? だけど、記憶を取り戻していくうちに思い出してしまったんだ。――彼女たちの誰かが、俺を殺そうとしたことを。

第32回ファンタジア大賞〈金賞〉〈橘公司賞〉受賞作品。記憶喪失の主人公が、自分のことを好きな3人の少女と関わりながら記憶を取り戻していく中で、そのうちの1人から殺されそうになったことを思い出す学園恋愛サスペンス。
三者三様、魅力的なヒロイン陣とのいちゃいちゃが楽しい一方、それぞれがついている嘘が暴かれていく緊張感にゾクゾクする作品でした。
個人的には雪縫ガン推しです。ちょっと可愛いが過ぎると思います。


事故で記憶喪失になってしまった主人公。目を覚ますと目の前には自分のことを好きだという美少女が3人!
性格も立ち位置も胸の大きさも違う3人ですが、このトライアングルヒロインのバランスがとても良かったです。
それぞれが嘘をついていて、誰が自分を殺そうとした相手なのか分からない中、誰かだけを目立たせるでもなくみんな可愛らしく描かれているので、誰が犯人なのかの予想がつかず、ミステリー展開を純粋に楽しむことができました。
中でもイチオシだったのはぶっこみ系毒舌ちっぱい女子・雪縫! 強がっているようで実は弱気な子が慣れないストレートな愛情表現を精一杯がんばってる感がたまらなく好きでした……。性癖ストライクなんじゃ……。


三人娘との関わりの中、次第に記憶を取り戻してゆく主人公。そして明かされてゆく少女たちの嘘。
存外に記憶の回復が早かったのであっさり謎が解けちゃうのかなと思ったのですが、ラストギリギリまでしっかり犯人を隠しとおしてみせたのは素晴らしい! 全てが明かされるシーンはイラスト込みで背すじがゾワリとしてしまいましたよ。
ひとつだけ気になるところがあるとすれば、主人公の魅力があまり伝わってこなかったところですかね。悪いやつではないと思うんだけれど、友だちいないわりにモテすぎだし、むしろ結構コミュ力あるのになぜぼっちなの?
もちろん今回は記憶喪失だったので主人公の掘り下げがあまりできなかったという部分もあるとは思います。単巻かと思いきやあとがきには「また次巻で」とありましたし、続きが出るのならばそのあたりに期待です。


イラストはアシマさん。あーほんと雪縫かわいいなーやっぱり僕の推しがナンバーワン!
可愛いヒロインを並べつつもどこか不穏さを感じさせる表紙、素晴らしいと思います。


主人公の本名が明かされないラノベっていいよね。