『リベンジャーズ・ハイ』感想
ストーリー
人体に有害な『砂塵』によって、文明が一度滅びた近未来。異能を操る『砂塵能力者』たちが出現し、力を持っていた。“掃除屋”チューミーは、因縁の復讐相手・スマイリーの行方を探りながら、殺しを請け負っている。あるとき、治安維持組織の『粛清官』に身柄を拘束されてしまったチューミー。だが、意外な提案を受け、一時的に協力関係を結ぶ。バディとしてあてがわれたのは、「優秀だがワケあり」のシルヴィ。出自も性格も正反対の二人は、反発しつつスマイリーを追うが……。第13回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。
第13回小学館ライトノベル大賞<優秀賞>受賞作品。
「砂塵」を操る能力者達が跋扈する世界で、都市の暗部に潜む復讐者と都市の治安を守る粛清官がタッグを組み巨悪に立ち向かうSF異能バトルアクション。
奥さん、バディものですよバディもの! 全てが真逆の二人が時にぶつかり時に協力しながら一つの目的に向けて動いていく王道展開がたまりません。
敵がハッキリと邪悪に振れきっているので主人公の復讐心に強い説得力があって良かったです。
人体に害を及ぼす「砂塵」が世界を覆ったことで人類の文明は一度滅び、そして残された人々の中より生まれた「砂塵能力者」たちによって再び花開いた、そんな近未来の世界が舞台。
主人公は2人。ある理由から宿敵を追うためだけに都市の暗部に生きている素性不明の復讐者・チューミーと、都市の治安維持組織に所属しているが能力の関係でパートナーに恵まれない粛清官の少女・シルヴィ。
粛清官に囚われたチューミーが司法取引によってシルヴィのパートナーとなり、強大な犯罪者・スマイリーを共に追うことになる、そんなストーリーです。
何しろ犯罪者と粛清官なものだから、初めはやはり凸凹コンビ。お互いに相手に隠していることも多く、なかなか足並みを揃えられない。うむうむ、これがバディものの醍醐味ってもんよ。様式美っていうもんよ。
危険な任務に二人で身を投じていく中、少しずつお互いへの信頼が生まれていく両者。そして明かされていくお互いの過去。チューミーもシルヴィも壮絶な過去を背負っていて、読んでいて胸が苦しくなってきてしまう。
スマイリー。最凶最悪の敵。彼がかつてチューミーに対して行った仕打ちときたら予想を超えた凄まじさで、復讐のためだけに生きるチューミーの生き様には納得せざるを得ない。
敵がしっかりと悪として描かれているということは良いことです。スマイリーにはスマイリーの理由があって悪を為しているのだけど、それすら同情の理由にならないほどの悪。
順調にスマイリーを追い詰めているかのように見えて、実は全て敵方に読まれているという恐怖感。これでこそ巨大都市の暗部に君臨するラスボスというものですよ。
まともに立ち向かってはとても敵わない相手に対し、チューミーとシルヴィは一矢報いることができるのか。終盤は手に汗握り、一息に読んでしまいました。
綺麗に終わってはいるものの、またこのコンビの戦いがぜひ見たい。続編に期待です。
イラストはろるあさん。シルヴィめっちゃ美少女ー! スマイリーめっちゃこええー!
最後のイラストのチューミーの描き方がニクいね。
謎めいた豪腕上司ボッチ・タイダラ、かっこいいな。