まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

イキシアノ戦物語 黒狼卿と天眼の軍師

ストーリー
アリオン皇国最強の騎士、“黒狼卿”ヴィンセント。
その圧倒的な強さで周囲から恐れられる彼が唯一気を抜けるのは、かつて助けた町娘のミアに、顔を隠して会う時だけだった。
そんなある日、国境を守る彼の前に敵国の軍師“天眼のフォウ”が現れて……。



皇国の最強騎士と帝国の天才軍師が許されざる恋に落ちてしまう英雄戦記ファンタジー。
いわゆる戦記モノを想定して読んだら、思った以上にロマンス小説だった!
お互いに相手を手に入れるために戦う、不器用でまっすぐなふたりの主人公の姿が魅力的でした。


アリオン皇国とローベルト帝国。国境の山脈を境に幾度となく戦いを繰り広げてきた敵国同士。
そして主人公のヴィンセントは、若くして皇国で最強と恐れられる一騎当千の騎士です。
最前線の砦で帝国軍を跳ね返し続ける一方、あまりに強すぎて味方からも遠巻きにされるヴィンセントですが、そんな彼の心の支えが、中立都市で出会った町娘・ミア。
夜な夜な行われる、素性を隠しての密会。戦場では恐怖の象徴のようなヴィンセントも、明るく快活なミアの前ではかたなしで、微笑ましいやりとりが繰り広げられました。


寡兵ながら砦を堅持する皇国軍の前に新たにやってきた、帝国が誇る天才軍師・フォウ。
まるで天から戦場を見晴らしているかのような圧倒的な采配に苦戦を強いられる皇国軍。そしてそんな中、目ざとく軍師の居場所を発見し、単騎で突っ込んでいく英雄・ヴィンセント。
フォウとヴィンセントの邂逅はあまりに運命的! そう、軍師フォウの正体とはまさしく……。
いやあ、戦場のロマンスですね! 敵味方のトップ、それも武の頂点と智の頂点が、ときたもんだ。これはテンション上がってしまいますよ。
お相手が明らかになったことで一気にキャラクターが崩壊してしまったのがミアさん。デレデレすぎて完全に性格が変わっちゃってるよ! 語尾にハートマークをつけまくって惚気るミアはとても可愛らしくって、とてもあれと同一人物とは思えませんでした。
さて、いかに気持ちが繋がっているといえど、では恋人に、と簡単にはいかないお互いの立場。祖国を裏切ることもしたくない両者は、恋する相手に勝って、自分のモノにすると決意を固めます。なんて壮大な痴話喧嘩(と言うのか?)なんだ……。
憎めないそれぞれの副官たちも巻き込んで、ふたりの恋と戦争が今後どう動いていくのか、目が離せません。


イラストは有馬侭さん。口絵の帝国サイドのラスボス感が好きです。
あとルゥちゃんが可愛いですね! 太眉は正義なのだ!


副官同士のロマンスも期待していいの?