まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

いもーとらいふ<下>

ストーリー
小説家になるという夢を叶えた妹。
その事実は兄の存在意義を揺らがせるが、兄は既に妹と一緒に暮らし続けることを選んでいた。
だから兄は、妹と寄り添ってこの先も過ごし続ける……。



こじらせすぎた兄妹愛の日々は二十歳になっても三十歳になっても続いてゆく。
妹が成功したことで多少揺れてはいるものの、上巻で既に「選んで」しまっているから、ストーリーにそこまで大きな起伏はありません。
結果、どこからどう見ても最高に幸せな愛の物語である。めでたしめでたし。


今巻の目玉はいもーと視点から書かれた「いもうとにっき」の章。
小学生の頃からのにーさんとの日々が、いもーとの側から改めて描かれました。
兄があれこれと悩んでいた頃にも、妹の方はずっと兄への愛でいっぱいで、なんだかニヤニヤしちゃうね!
小説家を目指すことになったきっかけも結局はにーさん由来だったりして、もうほんとこの子の全ての成分は兄でできてるんだなって感じ。こんだけ一途なのに、血がつながってるとかつながってないとか、そんなこと関係あるんでしょうか! いやない!
しかし両親の頭痛は想像するに余りあるな……!


妹が小説家デビューして、どんどん成功していって、一方の兄はうだつが上がらなくて……。
兄としてはか弱い妹を庇護していたつもりだったけれど、いつの間にか自分の方もそんな妹に寄りかかっていたことに気付く。そしてまたちょっと素直になる。やだ、ますますイチャイチャに磨きがかかっちゃう……。
一方の妹はどこまでもブレません。にーさんによる決死の愛の確認も、いもーとにとっては悩むまでもない、至極当然のことでしかないのです。
だから、この兄妹はいつまでも変わらず、一緒に歩いていきます。世間の目なんて知るか! これが我らの愛の道じゃ!
ここまで描ききってくれてもはや感謝しかありません。2巻完結の短いシリーズでしたが、読んでたいへん満足でした。


いもーとの小説に強く入間人間を感じる(笑)。