まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

君から受け継ぐ英雄系譜

君から受け継ぐ英雄系譜<ブレイブ・クロニクル> (オーバーラップ文庫)

君から受け継ぐ英雄系譜<ブレイブ・クロニクル> (オーバーラップ文庫)

ストーリー
《星術》と称される異能を操り、異世界の侵攻から世界を守る存在“星術師”。
その育成機関“星門学園”に通う黒乃刻哉は、とある欠陥を持つ最低ランクの星術師だった。
“世界最強”の幼馴染・雪銀ユキヒメに何度も挑んでは連戦連敗を重ねつつ、最愛の妹を守るために力を磨く刻哉だが……。



第2回オーバーラップ文庫大賞<銀賞>受賞作品。
世界最強の幼馴染と、世界最強の「武器」となる妹とともに、世界を守るため戦うバトルアクション。
うん、面白かったです。特に前半の、本格的な戦いが始まる前の、幼馴染と妹ふたりに囲まれた和気あいあいとしたラブコメディはかなり好きでした。が……。
いやあ、困りましたね。前半と後半で、テンションが違いすぎやしませんか。ちょっと久しぶりに、ダメージが大きいです……。


世界に唯一の武器「ルインメイカー」の力を持つ妹・トワと、その使い手たる主人公・刻哉。
そして、幼い頃に兄妹が所属していた「組織」から、ふたりを救い出した「世界最強」の幼馴染・ユキヒメ。
前半は、主に刻哉とユキヒメが切磋琢磨しあう学園生活と、そこに妹を加えたラブコメが展開されました。
なんといっても、ドの付くシスコンの刻哉とトワのやりとりが笑えてよかったですね。いや、確かにトワはめちゃくちゃ可愛いんですけど、それにしても刻哉の溢れる愛がほとばしりすぎて、まともな会話になってない……。とりあえず妹のバニーガール姿に興奮しすぎである。
そんな妹愛の陰で、刻哉とユキヒメの間の確かな絆も丁寧に描かれていましたね。表面上は悪口を叩き合うくされ縁の親友という感じですが、ただの友情だけではない、お互いへの確かな親愛を感じさせる温かな描写でした。ツンデレ同士っていいですよね。


そんな3人に、異世界から忍び寄る魔の手。
世界最強の「学園長」として、そしてルインメイカーの使い手として、3人は揃って戦いへと赴きます。
バトルは、時を操る主人公の力のこともあってスピーディーで、迫力も結構あって良かったです。氷を操るユキヒメの最強っぷりも素晴らしい。
しかし、先遣隊を倒した後に姿を現したのは異世界の王。襲い来る圧倒的な力。熱いバトルでした。そして、その戦いの先に。
なるほど、そうか、だからこのタイトルか……。いや、さすがに、この展開は予想外だったので、正直キツいものがありますね……。
あまりに切なすぎるエンディング。これは、2巻があるとして、読む気が起こるかどうか……。とはいえ、読者にこれだけ強い気持ちを起こさせるということは、物語にそれだけのパワーがあるということですし、作者の力量をひしひしと感じたことは確かですので、様子を見つつ考えたいと思います。


イラストはとよた瑣織さん。口絵の格好良さに一発で惚れ込んじゃいました。
あとトワのバニーは確かに破壊力高すぎです。


「らぶりーマイシスター」。