まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

生徒会の祝日 碧陽学園生徒会黙示録8

ストーリー
後輩たる新生徒会の活動を見学するため、碧陽学園へとやってきた生徒会OBの面々。
ところが案の定新生徒会は全員集まらず、集まったメンバー間も険悪ムードに。
状況を打開すべく、残りのメンバーを探しに出る杉崎だったが……。



正真正銘のシリーズ最終巻は、生徒会が解散したあとのメンバーたちのお話を少しずつ描いたアフターストーリー。夢の“旧生徒会vs新生徒会”までが実現し、最後にふさわしいお祭り巻となりました。
『十代』みたいないかにも最終回という感じのノリではなく、実に今作らしい、どこまでも愉快でにぎやかでどうでもいい会話劇。
でもだからこそ、こんな日常がずっと続いていくんだという未来が見える素敵な最終巻だったと思います。


大学生になった会長および知弦さん、そして転校していった椎名姉妹の日々は、ただただカオスのひと言。
なんであなたたちの周囲はそんなにギャグが集まるの。そういう特殊体質なの。
知弦さんや深夏、真冬ちゃんは、杉崎がいない分ツッコミに回らざるをえなくなっちゃってるんですね。あ、会長にツッコミが無理なのは分かってるんで。
新しい学校でも杉崎に変わるツッコミ要員が生まれてくれるよう願います。せっかくの真冬ちゃんのボケを潰しちゃうのはもったいないよ!
短編としての完成度がやたら高くてびびったのが「続生徒会の一存」。生徒会メンバーでオンライン会議をするお話。
これぞお家芸といいますか、短いページ数の中で1本のコントのようなよくできた「お笑い」を見せてくれました。お約束のオチとか予想外のぶっ飛び具合とかもうたまらん。
「三年B組の十代」は杉崎と巡のデートのお話。なんだこいつら。ちょっと、体が痒いんですけど。
ある意味他のどのヒロインよりもリアルに杉崎と「恋人」をやっているのは他でもない巡だと思います。いいわ。悪友から恋人関係になったムズムズ感が素晴らしいですわ。幸せになれよ!


最後の短編「邂逅する生徒会」。旧生徒会と新生徒会の満を持しての顔合わせ。会うはずがないキャラ同士のやりとりは新鮮でとても楽しかったです。ここにきてまた新たな笑いを生み出してくるんだからまったく最後まで手を抜かないな!
ただでさえひとりひとりが壮絶なギャグ体質の持ち主なのに、それが9人もいるもんだからもうしっちゃかめっちゃかなんですが、やっぱりこの生徒会はこうでないとな、ともしみじみ思うのでした。近くにいたら大迷惑でしょうけど。
個人的には、知弦さんと日守のコンビとか特に良かったですね。知弦さんと火神のコンビも。知弦さんと水無瀬のコンビにも将来性を感じます。なにこれ知弦さん優秀すぎる。
西園寺の不運も全開だったし、ここぞというところでスルッと差し込まれる水無瀬のひと言は凄まじい切れ味だったし、ああもう、このキャラたちとこれでお別れというのがもったいない! もったいなさすぎる! やっぱり好きです新生徒会。あ、あと生徒会じゃないけど風見めいくも大好きです。めいく可愛いわ超可愛い。


もう何度も今作の「最終回」の感想を書いてきた気がするので、今度もまた終わらないんじゃないかと勘違いしそうになりますが、今回ばかりは本当の本当にシリーズ完結。
長い付き合いでした。なんだかんだと愚痴も注文も言ってきました。まだまだ言い足りませんけど、それももう言えなくなるのだと思うと、なんとも感じ入るものがあります。
この作品と出会って最後まで追いかけることができて良かった。そう思います。
いつかまとめて(愚痴を交えつつ)読み返したいな。べ、別に大好きとかじゃないんだからねっ! 勘違いしないでよねっ!


この作品で『T○LOVEる』的イラストを目にする日が来ようとは。一片の悔いなし。