まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

生徒会の土産 碧陽学園生徒会黙示録7

ストーリー
卒業式も終わり、百名もの人数が一堂に会して、碧陽学園大合同二次会が開催されることに。
テンションが無茶苦茶になった生徒たちに、杉崎たち生徒会メンバーは翻弄されまくり。
それどころか、碧陽の生徒でない人たちまでが次々に乱入してくる始末で……。



意外すぎるほどの「感動の最終回」を迎えた本編とは異なり、こちらはひたすらコメディチックに大騒ぎといった感じの最終回となりました。
シリアスとコメディと、まるで別ベクトルのようだけれど、どちらもこの作品が持っている魅力の一部分です。
本編と番外編、ふたつのストーリー(?)があることで、その両方を最終回として味わうことができました。まったく、最後の最後まで贅沢なシリーズになりましたね。


番外編最終巻だというのに、読み始めて2行目で新キャラが出てきました。自由すぎる。しかしこの自由さがあってこその当シリーズ。フリーダムというワードがこれ以上に似合う作品が他にあるでしょうか。超時空を股にかけるフリーダムのトップランカーといっても過言ではないね!
というか、本当に新キャラで合ってますよね? キャラクターが多すぎて把握しきれていない部分もあるのですが……どこかで既出だったらすみません。
ともあれ、この風見めいくさん。最終巻でいきなり登場して、たかが40ページ程度の短編で主人公を張って終わるにはもったいないほどの人材でした。こうやってどんどんキャラクターを増やすくせに、誰も彼もが魅力的だから困ってしまう。
狗神さんのイラストの効力もありますが、それにしても可愛いです。なんでこの子がメインヒロインじゃないのかと思ってしまうくらい。いや、脇役だからこそ輝くキャラのような気もしないではないんですけど。
ここにきてのシリーズ丸ごと自虐ネタがやたら面白かったですね。だ、大丈夫ですよ! 私は嫌いじゃないですよ、企業編! そんなにダメージ受ける必要はないのよ!
しかしめいくさんは本当にもったいないなあ。後日談の方にもぜひ登場していただきたいものですね。私は彼女、風見めいくを応援しています!
それから、色々とぶっ飛んでいた一年C組編も、「一年C組の告白」にて遂に最終回。ここにきて今さらストーキングの是非についてどうこう言われても、正直困惑するだけなのですが、最終的に真冬ちゃんが幸せそうだったからそれでよし。
一方、C組編の主人公だった秋峰君も、大きな一歩を踏み出すどころか、人生の大きな一ページをめくってました。
どうしてこの作品の登場人物はこう、色んなプロセスをすっ飛ばしてしまうんでしょうか。いや、それで大正解なんですけどね。なんか悔しいのはなんででしょうね。末永くお幸せになりやがってください。こんちくしょうめ。
シリーズ最後の生徒会室での談義となりそうな「続かない生徒会」は、最後の大暴れと言わんばかりに危険なパロディ盛りだくさんで、大いに笑わせてもらいました。なんとなくですが、1巻の頃を彷彿とさせられてしまいますね。
どうせパロディで笑いを取るのならこれくらい突き抜けたまえよと、王者がさすがの貫禄を見せつけてくれた。そんな風に思います。
あと、会長が単純に可愛くてひたすら愛でていたくなりました。なでなで。


最後のお話「碧陽学園第二次会!」は、キャラクター総出演・これぞ大団円といった感じの、どんちゃん騒ぎ最終回となりました。
本編最終回も素敵でしたが、個人的にはやっぱり、本当のラストはお祭りっぽく……と願っていたので、最後にこのお話を持ってきてくれてとても嬉しく思います。やっぱりこちらのノリの方が、この作品らしいですよね。
いやもうほんとに、数えるのも億劫なくらいのキャラで溢れかえっていて、正直よく覚えていないキャラなんかも多数いたんですが、とにかく楽しいから万事OK。問題なし。
今までは決して絡むことのなかったキャラ同士が揃ってボケ倒す快感。杉崎が「ボーナストラック」なんて表現を使っていましたが、まさにそんな感じ。ここまで長い間付き合ってきた読者に与えられた、最後の豪華なご褒美ですね。
終盤は飛鳥さんの無双っぷりが目立っていましたが、私としてはやっぱり水無瀬さんに一票投じたいところ。ああ、その凍てつく視線で焼き尽くされてしまいたい。
それにしても、さすがにこのオチは予想外でした。お前が全部持って行っちゃうのかよ! ああ、改めて、どこまでも油断のならない作品でしたね。完敗です。


最終回最終回と連呼してきましたが、あとがきによれば『新生徒会の一存』の他にも番外編が1冊出てしまいそう、とのこと。あらま。
蛇足などとは申しません。大好きなこの作品、続くならば続く限り、純粋に応援させてもらいます。
『新』の方には、特報チラシに描かれたイラストから予想するに、「彼女」が登場すると思っていいのですよね? いやはや、わくわくが止まらないな!
新アニメなどもあり、これからどれだけの展開が続くのかは分かりませんが、どれもこれも楽しみに待ちたいと思います。


絶対に見たことないキャラがいるよなあと思ってふと確認してみたら、『図鑑』内の小説に登場してくるキャラのようでした。あちらも早く読まないと……。