まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

生徒会の十代 碧陽学園生徒会議事録10

ストーリー
副会長が遅刻しかけるアクシデントがあったものの、無事に卒業式を迎えた碧陽学園。
そこには、卒業していく会長と知弦、転校していく深夏と真冬、そしてみんなを見送る杉崎の姿があった。
式の後に集まった生徒会室で、会長は最後の名言を披露する……。



ああ、またひとつ、ずっと追い続けてきた作品が終わってしまった。
本格的にライトノベルを乱読しだす前から読んでいました。あの頃から比べれば、杉崎たちの会話で腹を抱えて笑うようなことも少なくなったような気がしますが、読み終えてた今胸に残るこの淋しさ、切なさを考えると、やっぱり大好きだったのだなあと思います。
本編10冊、番外編が現状で6冊ですか。いくつエピソードがあったかは分かりませんが、それらのほぼ全てを、ボケとツッコミのテンションとノリだけで突き抜けて、飽きさせずに最後まで読ませてくれたのだから、改めて凄い作品でしたね。
本編のシリアスはどうも好きじゃないとか言ってきてごめんなさい。卒業式はめちゃくちゃ良かったです。こちらまでしんみりとしてしまいました。説教臭さは相変わらずだけれど。
特に会長。最近はどうも、深夏や真冬ちゃんのヒロイン力に押され気味だった気もするけれど、ここに来てその本領を発揮。
卒業式のトリとなった彼女の答辞は、何よりも心を打ちました。なんだか知らないけれど、出だしの時候の挨拶の時点で既にぐっと来てしまった。彼女らしくて本当に素敵な演説でした。やっぱり会長あっての生徒会シリーズですよね!
リリシアさんも、最後までいい仕事してくれました。おいしいキャラだったなあ。


卒業式後の生徒会で、ある意味予定調和であり、それでいてシリーズが始まった頃は誰も予想していなかったであろう展開へ。
まず深夏。深夏はもう、一度デレたら清々しいほどにまっしぐらなデレ方をしてくれますね。
それでいて、指摘されると急に真っ赤になるところが実にあざとくてずるい。杉崎に一番似合うのは彼女じゃないかと思っています。まあ、一番とか二番とか、杉崎にはあまり意味のないことかもしれませんが。
真冬ちゃんの破壊力は個人的に最強です。丁寧語でずんずん突き進んでくる真冬ちゃんに頬のにやけが止まらない。ああ多分今凄く気持ち悪い顔になってる!
屋上で、最後に、それは、卑怯だろおおおおおお! うわああああああ!(じたばた)
ラストエピソードは一気に読みたかったのだけれど、耐え切れずにここで休憩を取ってしまいました。うん、これ以上読んだらしぬと思った。
難攻不落に思えた知弦さんも、ここで遂に……いや、ちょこちょこ怪しいところは見せていたけれど、彼女の場合、本気なのかどうなのか分からない部分があったから……。
杉崎への攻め方が実に知弦さんらしくてまたニヤニヤ。というかエロい。エロいよ知弦さん。ごちそうさまでした!
そして最後の会長。ある意味、知弦さん以上に攻略ルートが見えなかった会長だけれど、彼女らしい可愛らしさを保ったままで、ここまでやってきてくれました。
本当にねえ、上にも書きましたけど、会長はどこか特別で、他のヒロインとは一線を画しているように思います。
恒例の名言も、もう見られないのかなあ、なんてふと思ったら、さらに淋しさが二割増しになってしまいました。
でも、物語を終えられるということは素晴らしいこと。それならば、締めはやっぱり会長でなくてはいけませんよね。
そして忘れてならない杉崎。全く、最後の最後までどうしようもない男でしたが、彼がいたからこそこのエンディングを迎えられた。
ダメ人間で大馬鹿者で救いようのない、最高の主人公でした。こんな最上級の女の子たちを泣かせたら許さないからな。全員を幸せにしろよ。絶対だぞ。


ずっと読み続けてきたせいでしょうかねえ。面白いとか面白くないとか、もうそういうの通り越して、とにかく愛しい物語だったと、今感じています。好きなエピソードも好きじゃないエピソードも、ぶっちゃけ無いほうがよかったんじゃないかと思うようなエピソードも、全部ひっくるめて。
何やらすっかり、「さよなら」の雰囲気になってしまいましたが、まだ番外編と後日談が残っているようです。
生徒会メンバーはともかく、まだお別れできない、語られていないキャラが残っていますからね。
ここまで来たら、しっかりきっちり、語り尽くしてほしいところだったので、続きも楽しみにしています。


最大のオチはあとがきのページ数でした。というかあとがきのページ数について5ページかけて書いている時点で何かがおかしい。