まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

新生徒会の一存 碧陽学園新生徒会議事録 上

ストーリー
前生徒会メンバーのうち四人が卒業・転校した碧陽学園。
唯一学園に残った杉崎は、生徒からの票を集めて役員の座に返り咲いた。
ところが新生徒会の活動初日、他の四人は誰ひとり生徒会室にやって来ず……。



無事完結を迎えた本編の後日談。ただし内容はほぼ新シリーズ。
いやまったく不思議なものです。メインヒロインともいえる、杉崎以外の生徒会の4人が総入れ替えとなったというのに、こんなにも楽しいのですから。何なんでしょうねこれ。
ストーリーも本編とはだいぶ違うし、お話の雰囲気もシリアス分多めだったような気がします。もちろんそれでもギャグだらけではあるんですけど、本編のような、生徒会室や教室での延々だらだら会話ギャグではありません。
あとがきで作者も言っていますが、キャラはもちろん作風まで違う。それでも面白い。まあ作品への愛着からくるひいき目もあるかもしれませんが、ううん、参りました。
本編では最初から出来上がっていた生徒会ですけれど、今度は、生徒会を作ることがお話のメインに据えられています。
ひとりひとり、一筋縄ではいかない理由から生徒会へ出席しようとしない新メンバー。そこで我らが杉崎さんの出番。女の子を落としてこそのハーレム王ですよね!
杉崎が生徒会にかける無駄に熱い思いや、相変わらずの説教くささには苦笑しつつも、それほど嫌な感じがしないのはなぜでしょう。慣れ……かな!


女の子がみんな可愛いなんて言うと杉崎みたいですが、本当に出てくるヒロインみんなが可愛いんだから仕方ないのです。
今回杉崎が落とすのは、会長・西園寺つくしと、副会長・水無瀬流南。水無瀬の方は以前にも登場していますが、西園寺は完全な新キャラですね。
西園寺は今までにいないタイプのヒロインでした。前の生徒会では基本的に杉崎を振り回す女の子ばかりだったように思いますが、西園寺はむしろ、杉崎に振り回される側のように見えます。
杉崎の押しの強いギャグトークやボケの応酬にあわあわしてしまう普通さが逆に新鮮。ちょっと特殊な体質持ちではあるけれど、それ以外は純粋培養のお嬢様という感じで、そのピュアさに胸がときめきます。そうだよ、こういうのを正統派美少女と呼ぶんだよ!
一方の水無瀬は、もはや言わずもがなのシリーズ最強ヒロイン候補筆頭株。杉崎と真の意味で対等になれるだろう数少ない逸材ですね。
いやあ、この安定したツンがたまりません。一貫してツンツンしてるだけに、貴重なデレの破壊力が尋常じゃない。
色んな意味で手強い相手ですが、隣にいて彼女ほど安心感の持てるヒロインもそういないのではないかと思います。水無瀬にはぜひ、ずっとこの位置をキープしてほしいですね!
忘れてはならないのが、今回杉崎の相棒とも呼べる立場にいる重要キャラ・風見めいく。
まさかの大抜擢となりましたが、これがまたいい働きを見せてくれるもので、一気に好きなキャラへと昇華しました。
可愛い。文句なしに可愛い。忠実かつ有能な部下っぷりが最高です。ストーリー上も大きな役割を果たしてくれているので、下巻でもその活躍に期待ですね。


残るは書記・日守東子と、会計・火神北斗。エピローグでのまさかのラスボス臭に少々驚いております。
西園寺や水無瀬以上に難易度高そうなふたりですが、こちらにも人員が揃ってきたところですし、どんな風に杉崎が彼女たちを落としていくのか、たいへん楽しみですね。
前生徒会メンバーもちょこちょこ登場してきたけれど、唯一無二のあの人がまだ出てきていないということにも注目。わくわくです。


上下巻で終わるのはもったいない。もうちょっとだけ続かないかな。