まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

東京皇帝☆北条恋歌8

  • ストーリー

機動魔法兵・エニグマの操縦訓練を受けるため、軍に入隊することになった一斗。
突然の婚約解消宣言について来珠と話し合いたい一斗だが、なかなかその時間が取れずにいた。
そんな中で敵の攻撃が本格化、新型怪蟲が登場するに至り、遂に『聖戦』が発動される……。


常々「シリアスはいいからラブコメやってろよ」と思っていましたが、ここにきてこんな展開が待ち受けていようとは。いきなりこれはずるいよ!
悔しいけど、まんまとしてやられました。面白かったです。


くだらなくて楽しい日常はどこかに消え失せ、一気に殺伐とした雰囲気へ。
たくさんのキャラが、あまりにあっさりと、舞台から姿を消していく。
こういう命の描き方は好きにはなれないけれど、このあっけなさが逆に先の読めなさを演出していて、緊張がどんどん高まっていきます。
次に何が起こるか分からない。誰がいなくなっても不思議じゃない。
怪物相手とはいえ戦争ですから、多分それが普通なんだろうとは思いますが、直前まで普通に喋っていたキャラが突然いなくなるというのは、やっぱりなかなか辛いものがあります。


ここまできたらどんな話になっても驚かないと決めていたけれど、これは、なんと、まあ。
とことん予想の裏をついてきますねえ。伏線が一気に回収されてかなりすっきりしました。
そしてようやく、本当にようやく、一斗が主人公としての本領を発揮。
全てに流されてばかりで、確固たる自分がなかった今までの一斗は、主人公というよりもただの読者視点のためのキャラという意味合いの方が強かったように思います。
しかし周りで助けてもらっていたヒロインたちがいない状況に置かれたことで、一斗は、自分で選び、自分で未来を作ることをやってのけました。
多くのヒロインから力をもらって、大きく成長を遂げることができた一斗。
今回ばかりは、確実に一斗のための物語だったと言い切ることができます。
格好良いとは間違っても言いたくないから言いません。なかなかやるじゃないか。


最終巻かもと疑いましたが、続きが出てくれるようです。ここで終わっちゃったらヒロインたちが泣くもんね!
悲しいことも多いけれど、やっぱりラブコメはみんな笑顔で終わってほしいし。
新ヒロインの花恋も可愛いんですよね。恋歌にはかなりイライラさせられるのに、不思議なものです。
やっぱり年下で丁寧語っていうのが重要なのかな。競争相手があまりいなかったことも大きいんだろうけど。
何より、あまり出番がなかった今回に限って妙にヒロインらしかった来珠との今後が気になります。
願わくば彼女にもう一度脚光が当たりますように。あとがきの感じだといけるような気がするんですよね。わくわく。


本当に無駄な風呂敷を広げるのが好きだな……ほぼ名前だけとはいえ、どんだけ出てくれば気が済むんですか、異次元の戦士。