まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ソードアート・オンライン7 マザーズ・ロザリオ

  • ストーリー

《浮遊城アインクラッド》に突如現れた謎のアバター、《絶剣》。
自身の持つ《オリジナル・ソード・スキル》を賭け、1対1の対戦ですべてを蹴散らし続けているという。
キリトさえも打ち負かしたというその剣豪アバターに、勝負を挑むアスナだったが……。


今回の主人公はアスナです。この時を待っていた。
メインヒロインなのにどうも影が薄く、常々寂しく思っていたので、ようやく活躍の場が与えられて嬉しい限りです。


新キャラにしてもうひとりの主人公が、《絶剣》ユウキ。
間違いなく今までで最高の剣の使い手で、なんと最強・キリトまで破ってしまいます。
なんといっても魅力的なのはそのオリジナル・ソード・スキル、怒涛の十一連撃でしょう。必殺技って永遠のロマンですよね。ああ、格好いいなあ。
戦いの場から離れたユウキは、天真爛漫で明るい女の子です。
こんな愛らしい子が《ALO》最強の剣士だっていうんだから、そのギャップに思わずくらくら。おまけにボクっ娘。最高じゃないか。


ユウキとアスナは、ギルドメンバーと共に、たった7人でSAOのボスへ戦いを挑みます。
やっぱりこの作品のバトルは熱いですね。強大な敵相手に工夫を凝らして少しずつライフを削っていき、最後に嵐のような攻撃をぶちこむ。
ほんと、ユウキが格好良い。ユウキ主人公の短編が読みたい。むしろ外伝として別シリーズを希望したい。
あ、キリトさんの見せ場もちゃんと用意してありましたよ。出番は少ないのにがっちりとヒーローを印象づけてくれちゃっています。
なんだかんだでおいしい立ち位置をもっていくキリトさん、抜け目ないですな。これだから……。


後半は打って変わってしんみりムード。正直言って好きな雰囲気じゃありません。
そもそもこの作品、現実世界の話はあんまり好きじゃないんですけどね。
ユウキに隠された真実が胸に重くのしかかってきます。先が読めてしまうだけに、きらめく日常がどこか薄っぺらく見える。
好きな展開からはかけ離れているけれど、ユウキのOSSの名前や、それに続く最後のシーンには思わずぐっときてしまいました。しょうがないよね。
ユウキからたくさんのものを受け取ったアスナがこれからどのように生きて行くのか。ゲーム世界でも現実世界でも楽しみなところです。
でも、最後の最後に明かされたあれは、ちょっといただけなかった。あの人だけはどうしても好きになれません。


今回もabecさんのイラストが素晴らしかったです。
ピンナップのシリカにも悶絶しましたけど、下から覗き込むようなユウキに、やられた……。