まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ソードアート・オンライン11 アリシゼーション・ターニング

ストーリー
《北セントリア帝立修剣学院》で上位十二人に入り、《上級修剣士》となったキリトとユージオ。
身の回りの世話役としてそれぞれあてがわれた練士ロニエとティーゼと共に、充実した生活を過ごしていた。
ある日、序列第二位の次席修剣士ウンベールと立ち合い、引き分けたユージオだったが……。



アリシゼーション編第3弾。ゲーム内ではもう2年が経過してしまいました。このあたり、アインクラッド編の話の進み具合を思い出します。
移動時間や学院での時間をバサバサと切り捨てているおかげですね。このあたりをまともに描いていたらいつまで経っても終わらないでしょうし、この大胆なカットのおかげでテンポがとても良くなっていると思います。
もちろん、時間の経過が現実世界にほとんど影響しないからこそできることだと思うんですけれどね。フラクトライト様々でございます。
カットされた部分のお話もぜひ読んでみたいものですが……アインクラッド編みたいに、短編で出してくれるといいなあ。


前半と後半で雰囲気がガラリと異なっていて面白かったです。話の内容も違うのですが、それ以上に語り手の違いが大きいですね。
ユージオが語り手である前半はファンタジー色が強く、キリトが語り手となっている後半は思いっきりゲームの中のお話という印象でした。視点が変わるだけで、話自体がこれほど変わってしまうものなのかと、大変興味深く感じました。ちなみに私はユージオ語りの方が好きですね。
前半は学院でのいざこざのお話で、後半は遂に世界の中心へ、という内容でした。
この作品の悪役は、本当に悪役らしい悪役ですよね。いやもうほんと、見ていて腸が煮えくり返るかと思いました。小物感に溢れているくせに、色んな手管を駆使して意外なほどユージオたちを追い詰めてくるもんだから、より苛立たしい。あとやり方がえぐい。
とはいえ、こういった憎まれ役がいるからこそ、ユージオをはじめ、ロニエやティーゼ、前巻に登場したリーナ先輩といったキャラたちの、純粋さや高潔さが光るというものですよね。
ああ、ティーゼはとても可愛らしいヒロインでした。もし、最終的にユージオ君がアリスじゃなくてティーゼを選んだとしても文句は言いません。キリト視点ではなかったために、ロニエの方は最後まで地味でしたけれども。そこだけがちょっと残念。


予想していたよりも遥かに早く、こんなところまで到達してしまいました。
思わぬタイミングでの再会があったり、アンダーワールドの成り立ちの秘密に触れたりと、いよいよ本格的に謎解きが始まっていきそうな予感ですね。
終わりが近いように思えるのですが、あとがきでは微妙な書き方だったし、もしかしたらまだまだ予想外の展開で続いていくのかもしれません。
このアリシゼーション編は、今までの中でも特に好きなシリーズとなりつつあるので、できればもうちょっと続いてほしいなと、個人的には思います。ユージオと別れるのは淋しいですしね。
なかなかにいいところで終わってくれましたので、続きが大いに気になります。ううん、次巻も楽しみ。


現実世界のあれこれをほとんど覚えていないせいでSTL関係がちんぷんかんぷん。