まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

空色パンデミック(4)

空色パンデミック4 (ファミ通文庫)

空色パンデミック4 (ファミ通文庫)

  • ストーリー

結衣の発作に巻き込まれ続けた結果、現空混在症を患った景。
幻聴や別人格に悩まされ、現実と空想の狭間で苦しみ、やがて恋人の結衣の存在すら忘却してしまう。
なんとか景を救おうと、手立てを探す結衣や青井たちだったが……。


なんと今回で最終巻。新章突入を楽しみにしていたのですが、まさか終わってしまうとは思いませんでした。
大好きな作品だっただけに、こうやって唐突に終わりを迎えるのは淋しいですね。


読みにくい!
ページ数はそれほど多くないのに、読み終わるのにずいぶん長くかかってしまいました。
序盤のうちはいつものように、みんなが結衣さんの空想に巻き込まれる、ドタバタの日常が繰り広げられています。
悲劇のレンジャーものもいいけれど、どこぞの料理漫画のような美食対決が面白かったですね。これで短編ひとつ書いてほしいくらいです。
ところが仲西の別人格が登場してからは、楽しい物語の雰囲気が一変。
仲西は現空混在症に苛まれ、現実と空想の世界(?)を行ったり来たり、正体不明の「野中空」や「道化」が現れたりして、正直理解が追いつきませんでした。


仲西がよく分からないことになっている分、活躍していたのは森崎や今井さんといったサブキャラクターたち。
森崎なんかは、特に出番が多いというわけでもないのですが、妙に目立っていたような気がします。
仲西と結衣さんの穴埋めをするように、ラブ分の補給までしてくれました。ちょっと予想外。
いやでも、森崎は普通に格好良いですよね。このカップルはいいと思いますよ。メインの三角関係に比べたら安心感ばっちりですよ。
しかしやはり、最重要キャラは青井で決まりではないでしょうか。青井に関してはもう、とてもサブキャラクターとは言えません。
今回の青井は、仲西を救うために全てを演じきった主人公であり、同時に、仲西の帰りを待つヒロインでもありました。
どんどん仲西と結衣さんの影が薄くなっていく中で、最終的に青井が全てを持っていった、そんな印象。
というかぶっちゃけ断トツで可愛いです。もう青井でいいじゃない。ねえ?


ずっと頭の中が?だらけでしたけど、エピローグはやっぱり爽快でした。
全ての謎が解けたわけでもないのに、なんとなくすっきり解決した気分にさせられてしまうのが不思議。
考えれば考えるほどドツボにはまってしまいそうだから、素直にごまかされておいた方がいいのかもしれませんね。


最初から最後まで、シリーズ通して、頭のぐるぐるが楽しい作品でした。
とりあえず、1巻から通して読みなおしたいですね。きっとまた、新たなぐるぐるに出会えることでしょう。


作者の空想から生まれたこの物語と巡り会うことができた現実に、乾杯。