まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

そんな世界は壊してしまえ2 ―クオリディア・コード―

ストーリー
カナリアが都市外で暮らす落伍者たちの援助をおこなっていることを知った朱雀。
都市を追われた人々の思いに触れ、朱雀は自分の正義を見つめなおす。
逡巡の末、新たな仲間たちを指揮することにした朱雀だったが……。



プロジェクト・クオリディア東京編の第2弾は、神奈川編に続いて今回で一段落。
前を向く人間だけを全て愛するという独特の正義を持っていた朱雀が、カナリアたちに感化されて人間らしい思いやりや優しさを知っていく……。
まだまだ間違い続ける朱雀ですが、隣にカナリアたちがいてくれればまた歩いていけるかな、と希望の持てる終わり方でした。


極端すぎる人間愛を振りかざしていた朱雀。
しかしカナリア経由で都市外に暮らす落伍者たちと触れあい、また前回東京主席に見捨てられた冬燕桃華を見舞ったことで、その価値観を少しずつ変えていきます。
戦う力だけをひたすら求めればそれでいいのか。都市を守ることができれば、人の思いなど関係ないのか。
ここまでやってきて、ようやく倫理的な面が朱雀に芽生えてきました。前巻での朱雀は、快活青年のようでいて、人間味の欠如っぷりがずいぶん激しかったですからね……。
切り捨てられた人を拾い上げる朱雀と、次々に切り捨てていく主席。対照的なふたりの構図がお話を盛り上げてくれます。


一方で、どこまでもブレないのがカナリアという女の子。
やってることはハチャメチャだし、朱雀に対してもちょいちょいお姉ちゃんぶるし、なんならほぼギャグ要員といっても過言ではないくらいなんですけど、彼女がいたから朱雀の変化があったのもまた確か。
一度希望が裏切られて、失敗して、世界を壊してしまえとさえ思った朱雀ですが……。そんなときも、やっぱりカナリアはブレませんでした。なんなんだこの超ポジティブドM体質ヒロイン。実は作中最強キャラなんじゃないの。
朱雀とカナリア、とんでもない凸凹コンビではあるけれど、見ていて妙に飽きないふたりの活躍をまだまだ見ていたいですね。できれば鷹匠さんやつぐみも! 特につぐみはかなり好きなキャラなので、2冊だけで終わってしまうのはもったいない!
今のところ、本作の続きが出るかどうかは分かりませんが、まずはアニメに期待するとしましょう。


鶉野さん、登場4ページでおもらしとか最高かよ……ありがとう、カントク神ありがとう……。