まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

勇者に期待した僕がバカでした

勇者に期待した僕がバカでした (ガガガ文庫)

勇者に期待した僕がバカでした (ガガガ文庫)

ストーリー
勇者協会から選ばれた勇者を育て、旅を盛り上げ、最後はその勇者に倒される、それこそが魔王軍のモンスターの仕事。
ところが30年ぶりに現れた勇者は、次々と奇跡的な愚行を繰り返すダメ勇者だった。
魔王秘書のエルブランコは、ポカミスだらけの新人・ウニベルとともに、ダメ勇者をなんとか育てるべく奔走するのだが……。



第10回小学館ライトノベル大賞<審査員特別賞>受賞作品。
勇者に倒されることを仕事にしている魔王軍が、ダメ勇者をどうにか育成すべく奮闘するファンタジー会社経営(?)コメディ。
面白かったです。上からの無茶な命令に苦しみ、下のポンコツっぷりに悩みつつ、ダメダメな勇者の育成法をなんとか模索していくビジネス魔王軍の姿に涙が出そう(笑)。
新入社員のウニベルちゃん、バカな子ほど可愛いってやつですねこれ!


勇者協会によって選ばれた勇者を、適切なモンスターをぶつけたり、適度なダンジョンを用意したりしてレベルアップさせていき、最終的には魔王が倒される……それこそが魔王軍の「お仕事」。
30年ぶりの魔王軍コンペで選出されたゴルディアス魔王軍でしたが、その勇者はなんと30歳ニート
鉄の剣もまともに振り回せず、ゴブリンと遭遇したら戦わずに逃げる、そんな残念勇者をいかにして成長させていけばよいのかという魔王軍の奮闘を描いたストーリーになっています。
いやあ、魔王業界もなかなか世知辛いですね。そもそも勇者協会がこんな勇者を選出してしまったせいでこんなことになっているというのに、勇者協会のお偉いさんからは文句と皮肉とノルマの催促ばかり。
かといって勇者協会に対して強く出ることもできず、ひたすら貧弱な勇者に悩まされる……。土日を返上して働いても上手くいかず……。お気楽な新人はポカをやらかして代わりに謝罪……。胃が痛くなりそう!


そんな魔王軍において中間管理職な主人公・エルブランコですが、上司にはなかなか恵まれています。
魔王なのにたぶん一番心優しくて公明正大な魔王ゴルディアスを筆頭に、4人の頼りになる四天王がいて、働く環境としては決して悪くないはず。
新人のウニベルだって、まあ多少はおバカでイマドキ女子って感じのノリではあるけれど、頑張るところではちゃんと頑張ることのできる子だし、可愛い後輩です。
やっぱり問題は全てダメダメな勇者に起因するのだ! せっかく武器屋にドラゴンスレイヤーを格安で用意したのになぜかこん棒を買っちゃうし、魔王軍最弱のモンスターでもうっかり勇者を殺しちゃいそうなくらいに戦闘力がないし、ダンジョン攻略はあっさり諦めるし、もうこいつ勇者に向いてないでしょ!
四天王自らさんざんお膳立てして、やっと勇者が町から踏み出したときの謎の感動よ……。こりゃだめだ。
たいへんバカバカしくて楽しいギャグ作品でした。単巻でもいいような終わり方ではあるんですが、ウニベルちゃんの成長や活躍がもっと見たいので、続きがあることに期待したいですね。ついでにルビアの出番がもっと増えるといいんじゃないでしょうか!


イラストはIxyさん。アニメっぽいキャラデザが可愛くてよかったです。
ウニベルさん新人なのにスカート超みじかいな!


実際アマリージョさんはエロ可愛い。