まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか14』感想

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか14 (GA文庫)

ストーリー
「迷宮の孤王――アンフィス・バエナ!」
絶望の『予言』は終わらない。惨禍の宴が繰り広げられた27階層で巻き起こる新たな異常事態。退路を断たれたリリ達は、ベル不在の中で『冒険』を余儀なくされる。
「深層……」
一方でベルとリューを待ち受ける過酷の名は『37階層』。孤独、孤立、孤絶、最凶の舞台で幕を開ける最悪の決死行。そして迫りくる【厄災】の影。かつてない過酷に翻弄される中、リューは生と死の狭間で過去の情景を見る。
「私には、もう……『正義』はない」
これは少年が歩み、女神が記す、 ──【眷族の物語】──

600ページ続くクライマックス
半端ねええええ! 600ページオーバーの分厚さに狂喜乱舞して読み始めてみたら、最初から最後まで冒険に次ぐ冒険、危機に次ぐ危機、ページをめくってもめくってもクライマックス級の熱い場面しか出てこないという、ちょっと頭おかしいんじゃないのというレベルでとんでもない1冊でした。
特に、深層に落ちたベルとリューの追い詰められ具合が凄い。何度命の危険に晒されれば気が済むんだ……作者ドSすぎるでしょ……。
それにしても今回のリューのヒロインっぷりは凄かったですね! ベル君包囲網への参戦なるか!?


ベル不在の中、イレギュラーで出現した『迷宮の孤王』。Lv.4のアイシャがいるとはいえ、今のヘスティア・ファミリアの戦力では到底太刀打ちできるはずのない大敵。
しかしそこで諦めない男がいた。ベル・クラネルに負けるな。その思いで立ち上がる者たちがいた。
全員が死力を尽くした、薄氷を踏むような、本当にギリギリの戦い。これは間違いなく、ベルがかつて乗り越えてきたのと同じたぐいの「冒険」だ。彼らのこの姿を見れば、もはや誰も、ベルだけで保っているファミリアだなんて言えなくなるに違いない。それほどに……いつの間にか……彼ら彼女らも成長していたんだなあ。
特級の窮地を脱して、それだけに飽き足らず、ベルを救出すべく階層を降りようと決断する一同。
その中で新たに芽吹いた、ヴェルフのちから。同じ前衛職として、今までどうしてもベルの影に隠れがちだったヴェルフだけれど、彼は彼でとんでもない冒険者になろうとしているのかもしれない。


一方、ただでさえボロボロの体で、深層37階層まで落ちてしまったベルとリュー。当然地図もなく、ろくな装備すらない。えっ、これってもはや詰みなのでは……? というような状況。いかにベルとリューが優秀な冒険者であるとはいえ……。
まさに一寸先は闇。2人揃って生還できる気配など微塵もなくて、辛く苦しく痛ましく、当て所ない冒険が続きます。ベルは毎度毎度ピンチに陥るけれども、まず間違いなく過去最大のピンチですわ。ほんと、今回ばかりはマジで無理なんじゃないかって思いました。
自分の身を犠牲にしてベルを生還させようとする、自罰的なリューの振る舞いがまた切ない。もちろん、今の状況があまりに厳しいと分かっているからこその、リアリストとしての決断でもあるのです。一流の冒険者としては、もしかしたら当たり前のことなのかもしれない。しかし彼女の隣にいるのは、冒険者の当たり前を片っ端から否定して回る、周囲の全てを救わなければ気が済まない小さな英雄!
そう、あのベル君が、リューさんを見捨てて1人だけ助かるなんてこと、できるはずない。相変わらずとんでもない無茶をしでかしてくれて、もう肝が冷えるったらないんだけれど、でもベルはやっぱりこうでなくっちゃなあ。カッコ良すぎる。
エピローグ、完全にリューがメインヒロインと化していましたね……さもありなんというところです。アイズ過激派の僕もついうっかりグラつきそうになりました。
まだまだ続きそうなベル君のモテ期は、いったいどこに着地するのやら。次巻は日常編ということで、ラブでコメなあれこれも見たいですね。


しかしベル君、またレベルアップしてしまうのでは……?