まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱くII』感想

死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱くII (オーバーラップ文庫)

ストーリー
死神から授かった漆黒の剣を手に戦場を駆け、ファーネスト王国の南方戦線へと勝利をもたらした銀髪の少女・オリビア。久方ぶりの勝利に浮かれる王国だったが、間を置かずして舞い込んだのは、北方戦線を維持していた第三軍、第四軍が壊滅したとの報だった。状況を打破すべく、オリビアを有する第七軍は制圧された地域奪還の命を受け、北方戦線へと進軍を開始する。一方、帝国軍の指揮を執るのは、帝国三将が一人にして紅の騎士団を率いるローゼンマリー。濃霧が覆う渓谷で、戦いの火蓋が切られようとしていた――! 王国軍“最強の駒”として、常識知らずの無垢な少女が戦場を駆ける、第二幕!

銀麗の少女、帝国騎士団を蹂躙する
去年読んだ中でもトップクラスに好みだった作品である無双戦記ファンタジー、待ちに待った第2弾! いやあ、ほんと待ちましたー! 普段web版は読まない僕がうっかり全部続きを読んじゃうくらいにハマってしまったのに、次の巻の情報が出ないところかweb版の更新まで止まっちゃったもんだから、正直めちゃくちゃ心配してました!
今回は帝国が誇る紅の騎士団との戦いを描くのですが、相手が誰であろうと最強の少女オリビアの無双ぶりは健在。鎧袖一触とはまさにこのことといった風情で、ここまで圧倒的だとただただ痛快です。脇を固めるクラウディアとアシュトンの奮戦ぶりもとても良いですね。


南の帝国軍を足止めした第七軍は一路、紅の騎士団が攻め寄せる王国北方へ。
通りがかったついでに……とばかりに、中央戦線で窮地に陥っていた第六軍もさくっと救ってしまう。いやはや、この無敵感。たまらんものがありますね。
ここまで圧勝に次ぐ圧勝を見せられると、だんだん面白みが薄れてきてもおかしくないと思うのだけど、なぜかずっと楽しいんだなあ。不思議だなあ。まあオリビアのキャラ造形が好きすぎるので、多分にひいき目は入ってると思うんですけれども……。それにしたって、お話の勢いを止めずにずっと駆け抜けていくこのスピード感はなかなかに凄い。
戦場では化け物であり死神であるのに、一歩その場を離れると途端に無邪気で愛らしい少女と化してしまうのがずるいですよね。日常パートで激怒するクラウディアと、彼女の夜叉ぶりに戦々恐々とするオリビア、という力関係の逆転した構図が大好きなんです。


王国北方で大規模展開する紅の騎士団をじわじわと突き崩していくアシュトンの策謀。いやまったく頼りになる軍師である。
最強の剣と異才の頭脳がいて、優秀な補佐官がその2人をまとめ上げる。やはりこの独立騎兵連隊、そんじょそこらの軍では太刀打ちできないのでは?
紅の騎士団の将・ローゼンマリーもなかなかの使い手のようでしたが、正直彼女がオリビアに勝つ未来が見えなかったというか……。もしもオリビアが本気を出せるとしたら、今のところは蒼の騎士団を相手にした時くらいかなという気がしているのですが、この帝国最強軍とオリビア達が対峙するのはいつなのでしょうね。
もしくは、ラストで登場した神国メキアから、思わぬ強敵が登場してきたりもするのでしょうか。ともあれ次巻も楽しみです。


web版を読んだはずなのにかなり新鮮な気持ちで読めたのだけど、これは加筆修正が多いからなのか、僕の記憶力がないせいなのか(たぶん両方です)。