まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外伝 ソード・オラトリア10』感想

ストーリー
「怪物のせいで誰かが泣くのなら──私は怪物を、殺す」
そして、『その日』はやって来た。
人造迷宮の『鍵』を探し求める【ロキ・ファミリア】に訪れる運命の契機、オラリオに動乱をもたらす異常事態。地上に出現した『武装したモンスター』によって、あらゆる勢力が巻き込まれる中、待ち望まれていた『英雄』は零落し――新たな『愚者』が生まれる。
剣姫は懊悩する。
勇者は覚悟する。
人と『怪物』を巡る戦いの中で、様々な想いが決戦の舞台、迷宮街で交錯する!
これは、もう一つの眷族の物語、
──【剣姫の神聖譚】──

本編9~11巻の裏側を描く外伝第10弾。
ロキ・ファミリアの面々、ベル君に毒されすぎぃ! 都市最強の面目はどこに行ってしまったんじゃ!
この辺はたぶんベル君も一番悩んでいた時期かなと思うんですが、こっちはこっちで、アイズもフィンも悩みまくり壁にぶつかりまくりです。足りない……僕らの癒やし、脳筋ティオナちゃん分が足りないんだぜ……!


人造迷宮と闇派閥、そして異端児たちをめぐる一連の戦い。
うーん、間違いなく濃密な450ページではあったんですけど、ただでさえ混乱しまくりだった異端児事件のさらに裏側なんて描かれちゃったもんだから、ちょっとさすがに疲れました……。
個人的にこの外伝に求めているのは、本編で見られなかったエピソードや冒険のお話であって、あちらでも散々描かれた事件の焼き直しではないんだよなあ(ちょっと言葉が悪いか)。もちろんアイズの冒険者としてのアイデンティティが揺らぐ大きな出来事がありましたからね、描かざるをえないのは分かるんですが。なんだかんだで面白いのは確かだし。


フィン。都市最強派閥をまとめ上げる小さき勇者。しかし完全無欠に見える彼にも、彼なりの葛藤があった――。
ロキ・ファミリアの幹部の面々は軒並み好きなんですけど、フィンだけはどうにも好きになれなかったんですよ。なんでかなって思ってたんですが、たぶんベル君と似た部分があるからなんだろうなあと今回読んでいて思いました。なんだかすげー主人公っぽいし。ベル君の主人公の座が奪われてしまいそうで。人工だろうがなんだろうが、英雄だもんなあ。くーっ、やっぱり好きじゃないわ!(笑)
一方で、ベル君やアイズに並び立つ主人公として躍り出てほしい筆頭はレフィーヤたんです。レフィーヤほんと好き。今回も魔法力特化型の特殊スキル持ち固定砲台っぷりを存分に発揮してくれていて最高でした。あとがきで書かれてた元々のプロット読みてえええええ! いつかまたベル君と共闘してくれ!!


さて、次に描かれるべきはどう考えてもアイズの成長ですよね。この後の彼女の姿はまだ本編でも語られていませんが、ベル君との戦いの中で見出してしまったものとどう向き合っていくのか大いに気になるところです。
僕はアイズ・ヴァレンシュタインを諦めない。また強く鋭くそして愛らしいヒーロー兼ヒロインとして舞い戻ってきてください。楽しみにしています。


我慢できずに竈火の館にカチコミかけちゃうレフィーヤたん……すこすこのすこ……。