まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

堕落の王

ストーリー
かつてしがないサラリーマンだったが、死後異世界に転生し悪魔のクラスを得た男。
彼は異世界で自堕落に過ごし続けるうち、いつしか怠惰を司る魔王、レイジィ・スロータードールズになっていた。
そんな彼に、反旗を翻した暴食の王ゼブルを討滅せよとの大魔王の勅命が下るのだが……。



怠惰を極めすぎて魔王にまでなった主人公の配下たちが、敵対する魔王と戦う魔界悪魔バトル。
罪を重ねるほど強くなる悪魔たちによる悪魔同士の戦いは、ユニークかつ見応えがありました。
怠惰すぎて最後の最後まで戦うのを渋る主人公が、満を持して圧倒的な強さを披露する終盤が妙に爽快でよかったですね。


前世ではサラリーマンだった主人公・レイジィは、異世界に転生した後に怠惰な生活を極め、悠久の時を過ごした結果、怠惰を司る魔王に。
しかし魔王にまでなったほどの「怠惰」の持ち主ですから、当然魔界を代表する面倒くさがり屋のレイジィ。そんな彼に大魔王からの命令が下ったところで、当然自分から動こうとするはずもなく……。
「よは」(=よきにはからえ)のひと言で、優秀な配下の悪魔たちが次々に力を振るっていく、そんな独特すぎる魔王の軍団が面白かったです。


倒すべきは暴食の魔王・ゼブル。魔王ですから、当然こちらも魔王が出るのが筋というか、他の悪魔では太刀打ちできないところなんですが……レイジィの軍からは、かの軍が誇る3人の将軍の内の2名、強欲のデジと色欲のミディアが出陣。
広範囲の破壊力を持つ暴食、手にしたレア武器で無双する強欲、幻惑のスキルで魔王すら欺く色欲……と、己の罪に応じた戦闘方法を見せる悪魔たち。人間の勇者や魔法使いとはひと味もふた味も違う、罪と悪を極めた者同士の戦いは、なんでもありといった感じで楽しいですね。
さて、活躍はおろか出番すらまともになかった主人公ですが、一計を案じた悪魔により、クライマックスでようやく戦場へ。
しかしいざ戦ってみれば、その強さたるや! 悪魔じゃなかったら本当にただのダメ人間というか、ダメ人間の中でも底辺中の底辺くらいの主人公ですが、怠惰も極めるとこれだけ凄まじくなるんですね……何事も継続は力だね……。
そこに在るだけで最強、でも自分からは何もしない。そんな奇妙な主人公が、次はどんな戦いへと巻き込まれていくのか。バラエティ豊かな配下たちの活躍にも期待です。


イラストはエレクトさわるさん。レイジィさん、目がちょっと大変なことになってますよ……。
女性キャラではもちろんミディア様推しです!


某小説サイトデビュー作に度々抱く疑問なんだけど、この作品、異世界転生である必然性はあったのかなあ……。