まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

獣娘小隊にやる気なし司令官が着任しました。

ストーリー
暇すぎて出世ができない最悪の左遷先『アリ地獄基地』に転属することになったリオン。
怠惰を愛する彼は意気揚々と着任するが、獣人族の兵を束ねる人狼族の少女ルガルが彼のやる気のなさに猛反発。
さらに獣人と人間の兵士同士が対立し、砦には不穏な空気が漂っていて……。



やる気はないけれど有能な主人公が、獣人の兵士たちで溢れた地方砦の司令官となって戦いに巻き込まれていく戦記ファンタジー。
人狼に人狐、人猫など、色々な獣人が登場して、それぞれの特長を活かして戦っていくのが面白いですね。
“頑張らないためには努力を惜しまない”主人公が、次第に獣人の部下たちから信頼を得ていくのも良かったです。


一応王族だけれどやる気のない主人公・リオン。まるで左遷かのような転属先の砦へ行ってみれば獣人族がいっぱい!
人狼のルガル、人兎のラビナ、人猫のニャウリン、人羊のライム、人竜のリュウカ。それぞれ個性的で楽しい面々でした。
忘れてはならないのが、幼い頃からリオンに仕えているメイド・イヅナ。彼女も人狐なのですが、穏やかな顔してダメな主人にビシッと現実を突きつける、なかなかにおいしい立ち位置のキャラクターでしたね。わざわざ幻影の技を使っていつもメイド服を着ているように見せている、という無駄な設定がいい(笑)。
前任の司令官への気持ちもあって、最初はなかなか打ち解けることのできなかったリオンとルガルたち。
リオンはあんまり真面目に見えませんからね。ルガルみたいなストイックなタイプからは、どう考えても嫌われそうですよね。
でも遊んでいるように見せて実は仕事をしていたり、差別されがちな獣人に対して優しかったり、意外な頭の良さを見せてくれたり。まあ格好良いかと言われると微妙だけれど、司令官としては好人物ではないでしょうか。そういう中で、ルガルとの距離が次第に縮まってきていて嬉しかったです。


一度も敵から攻められたことがないはずの「アリ地獄基地」に迫りくる敵国軍。
獣人たちそれぞれの得意分野を作戦に組み込んだ戦いっぷりが、ユニークで楽しいですね。
砦のためではなく、獣人たちの居場所を守るために戦うというのも、リオンらしくていいなと思います。
そして戦いの中では、この物語中で恐らくリオンのライバルとなるであろう敵将・カイとも出会いました。
まだ直接ぶつかり合ったわけではないし、お話も先が長そうですから、今後ふたりがどのような戦いを繰り広げていくのか今から期待が高まります。楽しみですね。


イラストはkonaさん。なんといっても獣人のデザインがみんな素敵。
カイのめちゃくちゃ悪どそうな顔つきもいいですね。


獣人には女性しかいないのかな……?