まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

路地裏バトルプリンセス

路地裏バトルプリンセス (GA文庫)

路地裏バトルプリンセス (GA文庫)

ストーリー
ある夜の路地裏、高校生の日月は、姿を偽り腕を競う路上格闘技《血闘》に身を賭す一人の少女と出会う。
彼女の姿は、かつて全ての敵を一撃で沈め、そして消えた伝説のランカー《魔王少女》のものだった。
しかし日月は、そんな《魔王少女》を一撃で沈めてしまう……。



第6回GA文庫大賞<優秀賞>受賞作品。
街の路地裏で行われるなんでもありの徒手空拳バトル! その舞台でかつて最強を誇った主人公が、昔の自分に憧れて闘いに赴くひとりの少女を鍛え上げていく、ガチンコ路上バトルアクション。
面白かったです。自分の正体を明かさぬまま、いわば自分の後継者となる少女を育てていく展開が熱い。師匠と弟子っていいよね。
バトル描写も、体運びや足さばきなどがそれっぽく描かれていて、迫力がありました。


1位から100位までのランクを賭け、路地裏で毎日開催されている殴り合いバトル《血闘》。
先行者へのリスペクトや、自分のプライド。そういったものを胸に抱いて戦う姿は、野蛮だけれど小気味いい。
ヒロイン・來未は、そんなリスペクトを身にまとった戦士です。かつて最強を誇った「魔王少女」、その姿や技を真似て、強敵うごめく路地裏の闘いへ。
姿形はモノマネでも、戦う気持ちは本人だけのもの。日月に対して執拗なほどに付きまとい、師事をせがむまっすぐな姿を見ていると、つい応援したくなってきちゃいますね。
弟子としての來未は本当に可愛い! おバカなほど素直だし、正直だし、何より本当に楽しそうで、とても気持ちのよいヒロインでした。


いかにも嫌な奴! な敵キャラがいい味出してましたね。小物っぽくてやり口が汚くて、端的に言って超ムカつく。
來未がどうしても勝てない相手。しかし同時にどうしても勝たなければいけない相手。「二代目魔王少女」として、その先へ行くために!
もちろん、弟子のピンチに際して、師匠だって黙っちゃいられません。闘うことを辞めた彼が、再び闘う理由。暴力では何も救えないと知りながらも、それでも路地裏へ行く理由。
伝説の再来です。震えますね。
ひとつ壁を乗り越えて、でも來未の闘いはまだ道半ばです。今後彼女がどんな風に強くなっていくのか、そして師匠と弟子の間でのラブはあるのか! 小町との絡みも含め、楽しみでなりません。


イラストは平つくねさん。來未の豊かな表情が魅力的ですね。
初代魔王少女の姿もぜひ!


しかし日月で「たちもり」は読めん……毎回フリガナ振ってくれ!