『処刑少女の生きる道4 ―赤い悪夢―』感想
ストーリー
「メノウちゃんが死んじゃうくらいなら世界なんて滅んでもよくない?」
アカリとモモが消えた。信頼する後輩の裏切りに混乱するメノウは、教典から響くサハラの声に悩みつつも2人を追跡しはじめる。その頃、アカリとモモは、衝突を繰り返しながらもメノウからの逃亡を続けていた。絶望的にウマが合わない2人による、異世界人×処刑人補佐の禁忌のタッグ。しかし、“メノウ第一主義”な2人がなぜか逃亡中に始めたのは、モモによるアカリ強化スパルタトレーニングで――? 交錯する異世界人、「第四」、そして第一身分。少女たちを待つのは希望か絶望か――。彼女が彼女を殺すための物語、赤に染まる第4巻!
アカリとモモによる二人きりの逃避行! 導師『陽炎』の登場や『万魔殿』たちとの再会もあり、物語の根幹が少しずつ明かされる第4弾。
ここにきてグッと面白くなってきた! 特に前半はコメディタッチで、アカリとモモがバチバチにぶつかりながらも交流を深めていく姿をたっぷり見ることができて嬉しい!
後半では世界のルールの裏に隠された秘密が色々と明かされはじめました。ラストのメノウの決意とタイトル回収が格好良かったです。
メノウから逃げてとある温泉地にやってきたアカリとモモの凸凹コンビ。口を開けば喧嘩しかしないのになぜだか仲が良さそうに見えてくる不思議。会話の大半はメノウの取り合いっていうのが笑っちゃいますけど。
二人で襲ってくる刺客をなぎ倒していく前半は、これまでにないコメディ調で読んでいて楽しかったです。地がめちゃくちゃ殺伐としたストーリーなので、たまにはこういう息抜きがあると助かります。まあ、そのコメディパートの中にさらっとやべー奴が紛れ込んでいるのが怖いんですけど……。
一方のメノウは二人を追いかけるためにアーシュナ殿下に協力を求めておりました。こちらのコンビもなんだかんだ相性が良くて結構好きなんですよね。それにしてもメノウは万能選手ですわ。何やらせてもソツなくこなすので、もう少し弱みを見せてくれてもいいのよと思わなくもない。
直接的なバトルこそ勃発しなかったものの、結果的に敵味方のオールスター勢揃いといった様相に。特に導師がアカリたちの前に姿を表したことで、教会が隠す異世界人と魔導に関する謎が次々と明かされてゆきました。
アカリやモモがもしかしてと抱いた淡い希望があっさりぶち破られる非情さはなるほどこの作品らしいところ。理不尽な世界の理と、あまりにも強大な師匠を前にして、それでもメノウが曲げられない矜持。
諦めない少女たちの戦いの行く末が楽しみで仕方ありません。
『万魔殿』、敵キャラとしてめっちゃ好きなんだよな……。