まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

グランクレスト戦記 2 常闇の城主、人狼の女王

ストーリー
ヴィラール伯爵に仕えるため、幻想詩連合の要衝・アルトゥークへとやってきたテオとシルーカ。
彼らに与えられた任務は、国内に住まう魔女の長老、人狼の女王、吸血鬼の王へ使者として挨拶に行くことだった。
無事に魔女の長老との面会を終え、人狼の集落へと赴く一行だったが……。



1巻では人vs人、軍vs軍の戦争が多く描かれましたが、今回は少し趣向を変えて、魔女、人狼、吸血鬼といった異種族が登場する“ファンタジー”色の強い巻となりました。
全体的に、シルーカやテオといった主人公勢よりも、新たに登場した人狼や吸血鬼たちが目立って活躍していた印象がありますね。
元々群像劇っぽいということもあり、敵味方問わず豊富なキャラクターが揃っていて、目移りしてしまいます。


新たな職場に着いて早々、魔法師の先輩方からいびられる(?)シルーカさん。
テオのもとではトップでしたから自由にやれていたのですが、今度の立場は新入りの下っ端です。
才能は決して負けていないと思うだけに、活躍の機会が目減りしそうでちょっと惜しい。マルグレットからの仕事をさらっとこなしてしまったあたりはさすがで、少しすっきりしましたけどね。
なんとなくは分かっていたことなのですが、シルーカは決して、魔法の戦闘が際立って上手いというわけではないようです。
今回もひとりで窮地に陥っていましたが、結局助け出されるまではどうすることもできませんでしたし、彼女の本領はやはり、計略を用いたり人を使ったりするところで発揮されるのだろうと思います。
もちろん広い分野の魔法を使える天才ではあるわけだし、あまり魔法で格好良く決める場面がないのは魔法師としてもったいないなとも感じるので、今後に期待しています。


魔女、人狼、吸血鬼の3種族の長が、それぞれたいへん魅力的でした。
いちばん気になるのは魔女でしょうか。主に人狼と吸血鬼が戦っていたので出番は多くありませんでしたが、この長老には底知れない力を感じます。魔法師たちとはまた違う魔法の凄さを見せてくれそうな予感。
人狼は信頼の置ける隣人として、吸血鬼は油断のならない相手として。シルーカたちがいつまでアルトゥークにいるのかは分かりませんが、どの種族もお話に絡んできそうですね。
それから、アルトゥークから離れたセーヴィスで、順調に聖印を集めつつあるラシック一行にも注目です。
ますます混沌を深める情勢の中で、シルーカとモレーノというふたりの魔法師がどのような道を示し、テオとラシックというふたりの君主がどのような戦いへと身を投じてゆくのか。大いに楽しみです。


エマとルナはレギュラー化するのでしょうか。だったら嬉しい。