まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

いもうとがかり

いもうとがかり (MF文庫J)

いもうとがかり (MF文庫J)

  • ストーリー

どんなことでも科学的に考える超理論派、非現実的なものを全く受け入れられない高校生・天乃翔太。
玉砕覚悟で同級生の一片愛に告白した翔太だったが、相手はなんと愛の妹で「自称・木星人」として有名な一片恋だった。
誤解を解こうと思った矢先、今度は愛から、妹を守ってくれと泣きながら頼まれてしまい……。


容姿端麗で成績優秀な同級生の女の子、の「いもうと」の、電波で木星人な女の子とのラブコメディ。
タイトルからてっきり妹ものなのかと思っていたけれど、そうでもありませんでした。だまされた!
月見先生の新作ということでずっと楽しみにしていたのですが、期待していた通り面白かったです。
公園での脱衣から始まる恋物語……いいと思います!


主人公の翔太は、オカルトなど非科学的なものと接するだけで気分が悪くなるという生粋の現実主義者。
理屈っぽくてちょっと嫌味なところもあるけれど、変わり者の恋との相性は抜群でした。
恋の無茶苦茶な言動の連続に嫌々振り回され、ツッコミを入れながらも、どこか楽しんでしまう翔太にニヤニヤさせられます。
恋は、自称木星人という時点でもうだいぶぶっ飛んでいるけれど、他人と関わってこなかったからこその無防備さや、意外なほど豊かな表情、感情がとても可愛らしい女の子ですね。
高校生とは思えないくらいに無邪気で子供っぽくて、つい頭を撫でたくなる。
その電波っぷりも相まって、一緒にいるのは大変だけれど放っておけない。そんな娘だと思います。
元々告白するはずだった相手である恋の姉・愛さんがまたいいキャラしてますね。
とにかく妹を溺愛していて、恋のためならなんでもしでかしてしまいそうな危うさが魅力的。
そりゃまあ、妹がこんな具合だったら目が離せないだろうし、姉バカになってしまうのもうなずけるというものです。


勘違いの告白。後に引けない立場。解きたい誤解。
でも、本当のことを隠しながら付き合っていくうちに、いつの間にか本当に恋に惹かれていっている。
それと同時に、現実主義という自分の殻が少しずつ壊れてきていることに気付いて、怖くなって、付き合うことをまたためらって。
行ったり来たりで、なかなか前に進めなくて、じれったさが募ります。
しかし、とある失敗、それから決断を乗り越えて、翔太は大きく成長しました。
エピローグでの愛さんとのやりとりは清々しくて好きですね。一皮むけた感じがします。


これから物語はどう進んでいくのでしょうか。恋と愛さんと、どっちがヒロインになってもおかしくない気がします。
個人的には恋を応援していきたいところですけど。勘違いからスタートする恋愛って大好きなんですよ。悶えます。
でもしばらくは、この3人でいちゃいちゃやっていてくれればと思います。まだまだニヤニヤさせてください。次巻も楽しみにしています。


イラストはpun2さん。ちょっとタレ目っぽい恋が可愛いです。
カラーピンナップの涙目に胸を撃ち抜かれました。


瞳がさらりと格好良くて惚れる。実妹ルートもありや?