まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

モブ恋

ストーリー
春馬の親友・秋兎は、美少女を次々に引き寄せては恋に落とす「ギャルゲ時空」の持ち主。
そんな秋兎の隣にいる春馬は、そこそこのイケメンにも関わらず全くモテない人生を送っていた。
ある日春馬は、クラスの中でも地味な少女・森崎が秋兎への告白練習をしているのを目撃してしまい……。



志村一矢先生の新作ということで手に取りました。
面白かったです! 「主人公の友達」ポジションの男の子と「モブキャラ」なヒロインが、「主人公」や「メインヒロイン」たちへの、きっと叶わないであろう片思いを成就させようと奮闘する青春ストーリー。
なんというか、めちゃくちゃハートにクるお話でした。「ギャルゲ主人公」の隣にいるというのは、こんなにしんどいことなんですね……。
モブ子こと森崎は、確かに地味だけれど、とっても可愛かったと思います。容姿やキャラクターが十人並みでも、恋をする女の子は、可愛い。


自分の親友で幼馴染みの少年が異様にモテる。確かに優しくて人好きのする性格ではあるんだけど、明らかに自分の方がモテる要素を多く持っているのに、なぜか親友ばかりがモテる。
同じ幼馴染みでずっと一緒だった女の子も、もちろん親友の方に恋をしている。そして自分はその女の子に片思いをしている……。
うわあああああああああ! 辛い! 辛すぎる!!!!!
クラスの委員長(美少女)も、美人でおしとやかな先輩(巨乳)も、さらには自分の妹(ロリ)までも、女の子がことごとく親友を好きになるというこの理不尽さ。
それでいてその親友は全然憎めない奴だから、恨んだり怒ったりすることもできなくて、一歩下がって遠くから眺めるだけという立ち位置がもう、ほんとにひどい。胸が痛む……。
春馬は人の気持ちに敏感だし、人の悩みに親身になれるし、人のために本気になれるし、イケメンなだけでなくてめちゃくちゃ格好いい男なんです。それだけに、こんな立場にいるのが余計に辛い。


一方、美少女に囲まれた「主人公」を好きになってしまった「モブキャラ」な女の子、森崎。普通ならとても叶うはずのない恋。
それでも春馬は森崎に協力を申し出て、どうにか秋兎を振り向かせようと頑張ります。いやあ、熱いじゃないですか。モブキャラの意地というものですな。
いくら頑張ったところで、結果はやっぱり見えているんです。でも諦めないで、なんとか前に進もうとする、それが大事なことなんです。青春は戦いなのです。
それにしても、お話が進むにつれて、どんどん森崎が可愛くて仕方なく思えてくるから不思議なものですね。確かに地味ではあるんですけど、一途にひとりの男の子を想うその姿に、きゅんときてしまいます。
春馬と森崎、たいへんに魅力的なこのふたりに、どうか幸せな未来が訪れますように。続きを楽しみにしています。


イラストはぎん太さん。表紙の森崎が普通に美少女すぎる問題!(笑)
ポイントはそばかすですね。普通の女の子っぽさが出ていて、逆に魅力値大幅アップ。


変身前の森崎も十二分に可愛いと思う。