まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ミスマルカ興国物語Ⅸ

ミスマルカ興国物語 IX (角川スニーカー文庫)

ミスマルカ興国物語 IX (角川スニーカー文庫)

  • ストーリー

ついにグランマーセナルの帝都・シューペリアに入ったマヒロ。
早速第一皇女にして軍令本部長であるシャルロッテから、貴族たちの動向を探る指示を受ける。
しかし貴族たちもまた、中原地域の信頼を集めるマヒロに注目し、利用しようと画策していた……。


新章に入って2冊目。ようやくグランマーセナル帝国の中枢が明らかになりました。
これまではひどい国という印象だったけれど、ふたを開けてみれば皇帝はミスマルカ王よりもよっぽど普通みたいだし、町も穏やかなら人々も笑顔。
とりたてておかしなところもなく、平和的というか、牧歌的というか。共和国や極東、ヴェロニカの方がずっと変わって見える。
大きな戦いに勝った者の余裕なのか、あるいは、圧倒的に攻めているからこうなのか。
敵だった頃にはあれほど恐ろしかったのに、一番まともそうに思えてしまうのだから、分からないものです。


今回の主役はマヒロよりもむしろシャルロッテでしょう。
上の方で策略を巡らすだけで、下の妹2人に比べてどうも華がないなあなどと感じていたのですが、とんでもなかった。
なるほど、文字通り長女が最強だったんですね……!
そんなそぶりなんて全然なかったのに、ドSで破天荒でおてんばで活動的、とてもいい物語の引っかき回し役でした。
シャルロッテのおかげでギャグもいっぱい。マヒロとのコンビが実に楽しい。白薔薇? え、なんですかそれ。
3姉妹ではユリカ派だったのですが、思いを改めねばならないかもしれません。


毎回楽しみにしているパリエルの出番もきちんとあって嬉しい限り。
マヒロも悪くはないのですが、パリエルみたいに分かりやすい方が、主人公としては好きです。
あと、レイナーはどんどんおいしいキャラになってきていますね。パリエルとクーデルカの間に挟まれて冷や汗をかくとか、可愛いところもあるじゃないですか。
そのくせ戦いになったらあの格好良さなんだからずるい。しびれますねえ。
まあ個人的にはもっとパリエルの戦いっぷりが見たいわけなんですけど。剣の腕は上達しているんでしょうか。


表面的には緊張感がなくても、その実たくさんの陰謀が渦巻いているのがこの作品らしい。
シャルロッテの部下としてのマヒロの立ち回りは、まだ本領を発揮しているようには見えません。
ある種の二重スパイのような役目を、これから彼がどのように果たしていくのか、また口先で国を動かすようなことがあるのか、楽しみなところです。
あとはやっぱりパリエルですね。どうやら次巻にも出てくれそうな雰囲気ですから、存分な活躍を期待しておきましょう。


カラーピンナップのコーネリア嬢には何度も目を吸い寄せられてしまいました。これはしょうがない。うん、しょうがない。