まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『我が驍勇にふるえよ天地8 ―アレクシス帝国興隆記―』感想

ストーリー
アドモフ帝国、陥落! 遂にレオナートは一国を担う為政者となった。その驚くべき報せは諸国へと轟き、パリディーダ帝国へと出征中だった“冷血皇子”キルクスの耳にも届く。「今だ。俺の帝国を獲りにいく」一方、レオ台頭の報せに揺れる首都クラーケンの混乱は、ありえざる客――南方帝国ガビロンの侵略軍を招き入れてしまう。その四太子にして武の麒麟児、兵にも慕われるカトルシヴァが陽気に親征を開始する! レオ、キルクス、カトルシヴァそれぞれの想いを胸にした三つ巴の戦いの行方や如何に!? 魔法がなくても熱く燃え上がる痛快戦記ファンタジー、第8弾!!

アドモフを手中に収めたレオナートは一路南へ! 斜陽のクロード帝国を滅ぼさんと進軍してきたガビロン帝国、そして飛翔すべく中央へと舞い戻ってきた兄皇子キルクスとの三つ巴の戦いが幕を開ける第8弾。
前回あれだけの戦いがあったばかりなのにまたこの大戦ですよ。息もつかせぬ物語展開、ページをめくる手が止まらないとはこのことだ。
それにしても、アドモフを攻略したことよりもクロードのクソ貴族どもが滅んだことの方がむしろ痛快に思えてくるのは喜劇的というかなんというか……。


アドモフの主となったレオナートの最初の仕事はアドモフ上層部の人事。レオナートとメリジェーヌ、名コンビの裁量によって新たなアドモフが生まれていく。
ミノス大将やベルリッツェンなど癖のある、でも才能のある人物が残り、うわべのおべっかしか能のない人物は廃されていく。そうして出来上がった人事はそうそうたるもので、右にレオナート陣営、左にアドモフ陣営がずらりと並ぶ様はまさに圧巻。こうして才能が集ってゆくのを見るのは気持ちのよいものです。
一方、そんな場にのこのこやってきた間抜けなクロード帝国の勅使。クロードの貴族はアホだと常々思っていたけれども、やっぱりどこまでもアホだったよ……。もうこんな無能どもの思いつきに左右されずに済むと思うと本っ当に清々しますね!!


勝手に滅びておけばいいものを、最後の最後まで厄介を持ち込んでくるクロード貴族。もはやクロードを救う義理も人情もないのだけど、他ならぬアリスティア姫のためにただ一人進軍を懇願するクルスの男前ぶりに思わず拍手しました。お前はそうでなくちゃな!
向かうところ敵なしのレオナート軍。ガビロン帝国軍も一蹴してみせるかと思いきや、異母兄キルクスの横槍によって三つ巴の戦いに。
キルクス軍の指揮官オーゲンスとレオナート軍が誇る軍師ジュカの知略戦は燃えました! いやー、シェーラの遠大な策略もいいんだけれど、やっぱりジュカの「これぞ軍師!」という働きぶりが好きなんだよなあ。オーゲンスはロザリアにも匹敵する指揮官ということで、ジュカの活躍の機会はさらに増えていくはず。キルクス軍とのこれからの戦いに大いに期待ですよ。
一方のガビロン軍はまだ本領を発揮していないという印象。武に長けたカトルシヴァとレオナート軍の将との一騎打ちなども見られるでしょうか。こちらも楽しみです。
新たな将との出会いがあれば、別れがあるのもまた戦場の常。いい男だったよ。


皇帝! 最後の最後に格好良いとこ見せてくれやがって……。