まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

サマーウォーズ クライシス・オブ・OZ

  • ストーリー

ネット上の仮想世界OZで、"キングカズマ"として名を馳せる佳主馬は、ちょっとドジなアバター【マキ】と出会う。
【マキ】の本体である年上の少女、真紀とは、偶然にもネットカフェで隣同士だった。
しかも彼女は謎の男たちに追われているらしく……?


アニメ映画「サマーウォーズ」のスピンオフノベライズ。
普段ノベライズはあまり読まないのですが、他ならぬ「サマーウォーズ」が題材ということと、「放課後の魔術師」の土屋先生が書かれているということで買ってみました。


ノベライズってこんなに面白いものだったのか……。
土屋先生の視点切り替えの手法が上手いことハマっていましたね。
次々に入れ替わる視点によって映画にも負けないくらいのスピード感が生まれていました。これはたまらない。
サマーウォーズ」自体のデジタルな要素も作風に合っていると思います。


映画は夏休みの話ですが、この作品はその3ヶ月前、ゴールデンウィーク中の話です。
主人公は映画「サマーウォーズ」でも重要な役割を果たす少年、池沢佳主馬。
彼がひょんなことから真紀と出会い、OZ全体を巻き込む大きな危機に立ち向かっていきます。
映画でも感じたことですが、現実世界と電脳世界それぞれの戦いがあってとても楽しいですね。
現実での佳主馬の成長がOZでのバトルの勝利に繋がっていたり、またその逆もあったりするので、OZの中の出来事にも妙に現実味を感じました。


佳主馬は無愛想な中学1年生ですが、悔しいくらいに格好良いです。
OZでの"キングカズマ"としての格好良さももちろんあるのですが、それ以上に女の子を守るひとりの男の子としての格好良さが半端じゃない。
相手は高校3年生のお姉さんですよ。よくあんな台詞が言えたな……。
真紀もとても素敵なヒロインでした。弱みも素直に見せながら、いざという時には強さを発揮して佳主馬を支えていきます。
彼女がいたからこそ佳主馬は成長することができたんですね。
ほのかな恋心も見え隠れしていて胸がきゅんとしました。いいなあ。


その他にも魅力的なキャラがたくさん登場します。
佳主馬の大おばあちゃんは、映画の時と同じように、持ち前の信念と行動力とで佳主馬を導いてくれます。相変わらず存在感が尋常じゃないですねこの人。
隠れた主人公と言ってもいいのがOZを通して佳主馬に協力するアバター【KK】。
裏方の働きながら、最後まで佳主馬を支え続けたその能力には感服しました。
そしてOZで"キングカズマ"を知る数多くのアバター達。
詳しくは書きませんが、あのギミックには鳥肌が立ちました。そうだよこれでこそ「サマーウォーズ」だよ!


絶対に映画を見てから読むことをお勧めします。
ゾクッとすること請け合いですよ。