まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『エリスの聖杯2』感想

エリスの聖杯2 (GAノベル)

ストーリー
「最後に笑うのはこのわたくしだということを、嫌というほど思い知らせてやるわ」
希代の悪女スカーレットの亡霊にとり憑かれたコニーは、その復讐に付き合う羽目になった。十年前の処刑の真相を調べるための潜入捜査に、死神閣下ことランドルフ・アルスター伯との偽装婚約、果ては大貴族に睨まれての弾劾裁判と、忙しい日々を送るコニー。だが、王国内に潜む陰謀の影が見え始めたと同時に、彼女自身にも得体のしれない魔手が迫る。謎の襲撃者をかろうじて撃退したのもつかの間、今度は親友であるケイトが誘拐され!? リリィ・オーラミュンデが遺した謎の言葉『エリスの聖杯を破壊しろ』の意味とは? そして、スカーレットを処刑台に送り込んだのは誰なのか? 悪女の亡霊×地味令嬢のコンビが、王国の闇に潜む巨大な陰謀に立ち向かう、大好評の貴族社会クライムサスペンス第二弾!

明かされる真実、そして
今回も面白かった! 1巻はひねりの効いた悪役令嬢モノとして楽しんだ部分が大きかったのだけれど、今回はしっかりミステリー、ガッツリ陰謀という感じで、謎が謎を呼ぶ展開に心踊りました! 真相を知れば知るほどスカーレット・カスティエルのことが好きになっていくな!
コニーとスカーレットの信頼関係はもちろん、コニーとランドルフ閣下の恋愛未満な関係性も良いぞー!
1巻を読んだ直後は早く2巻が出てくれと思ったけれど、2巻を読んだ今は3巻が待ち遠しくて仕方ない……!


スカーレットの過去を調査するコニーに巻き込まれる形で誘拐されてしまった親友ケイト。
さすがに恨み節の一つも出るかと思いきや、コニーへの強い親愛の念と、悪に頭を下げない固い意志を示してみせた彼女。おいおいめっちゃ株上げてくじゃん……。
貴族の中では何かと軽く見られがちだったコニーだけれど、そんな彼女だからこそ得られたものっていうものがある。ケイトだけではなく、スカーレットやランドルフも、表には出さないけれど、コニーがコニーだからこそ近くにいてくれるんだろうと思います。こういうのグッときちゃうんだ。
一方、周囲から与えられるだけではなくてきちんと思いを返そうとするコニーがまたいい。スカーレットのために本気で怒ったり、なにがなんでも復讐を成就させようとスカーレット以上に張り切ったりするまっすぐな姿が格好良くて好きなんだなあ。一皮むけたコンスタンス・グレイルに刮目せよ。


現在進行系の事件、そして10年前の事件。今と昔、様々な登場人物が入り乱れる中で明かされていく記憶、秘密、謎。
いやあー、1巻からミステリー的な面白さはありましたが、まさかここまで濃密なものが見られるとは。嬉しい誤算でした。
リリィ・オーラミュンデの回想がちょっと最高すぎましたね……。おいしいキャラクターの匂いはしていたけど、すげえ人だったわ……。スカーレットと並び称されるだけはある。
そしてセシリア王太子妃。彼女もスカーレットやリリィとはまた別方向で存在感のあるキャラクターでした。ただの噛ませ犬じゃなかった……。悪役に華があるのは素晴らしいことですよ。
「エリスの聖杯」の真実。スカーレットの命を奪った計画。ラストの展開には痺れました。それと同時に続きが気になって気になって仕方がない! Web版に手を出しそうになっちゃうけれどここまできたら書籍版で追いかけたいので早く3巻を! お願いします!


ルチアちゃんすこ。

『ティアムーン帝国物語II~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』感想

ティアムーン帝国物語II~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~

ストーリー
「――来てますわ、波が!」処刑台から12歳に逆転転生【タイムリープ】した元わがまま姫ミーアは、調子に乗っていた。かつての記憶と周囲の深読みで、飢饉時の小麦確保や内戦回避に成功し、ついに前世の日記帳ごと「処刑」の二文字が消えたからだ。だが、呪縛から解き放たれて小躍りする彼女の下に、凶報が舞い込む。想い人である王子アベルの国で革命が勃発したというのだ。危険を冒して救助に向かうべきか、我が身の保身か……? 変わり始める未来を前に、彼女が下す「最初の選択」とは? ポンコツ姫よ行け、 ギロチン回避のその先へ! 運命に抗う一世一代の歴史改変ファンタジー第2巻!

前世で断頭台へのきっかけとなった地方貴族と少数部族とのイザコザ。そして恋人アベル王子の国で巻き起こる武力蜂起。
次々にやってくる重大事件を、周囲の人々を全力で巻き込んで思う存分やって、結果的に解決に導いてしまうミーアのアグレッシブさが心地いい。
にしても、ミーアがいい子なのかそうでもないのか読めば読むほどわからなくなってくるな……。


飢饉に備えて小麦の輸入ルートを確保したり、森に住む部族との衝突を防ぐためにその身で直接地方へ赴いたり。
成した事柄だけ見れば実に立派な姫様なのだけど、本心ではただひたすら自分の保身を考えてるだけだというのが相変わらず可笑しい。
メイドのアンヌに対する愛情や、貧困地区の子どもへの対応なんかを見ていると、決してわがままなだけでもないし心優しい部分も大いに持っているとは思うのですが、いったいどこまでがその優しさでできているのかいまいち見えてこないのが、独特な主人公像だなあと思います。同じように、本当にポンコツなのか地頭はいいのかもなかなか見えてこないし……。
でも、森に控えた軍を引き上げさせるための咄嗟の策は、珍しくまっとうにハマっていて良かったですね。時々こうやって冴えたところを見せてくれるから、やっぱり秘めた才能があるんじゃないかなと期待してしまうのですが。


自分の断頭台を回避したかと思いきや今度はアベル王子の国で革命が。帝国皇女として外側から動かしていくのかと思いきや、めっちゃ愚直に自ら潜入していくやん!行動力の化身か!
まあ皇女としてはどうかとも思いますが、愛する人のために危険を顧みず動いていけるのは素敵なことですし、かつての仇敵たるシオン王子やティオーナたちにまっすぐ協力をお願いしてみせたのにもちょっとグッと来るものがありますね。嫌いですわとかなんとか言っていても、なんだかんだで交友を深めた間柄なんだということを改めて感じさせてくれる場面でした。
レムノ王国ではドタバタに次ぐドタバタで、正直ミーアがアワアワしている間に解決してしまった感もあるのですが、過去に彼女が撒いた種があちこちで花開いた結果と考えればまあ、ミーアのおかげと言えなくもない……かな?
第一部完ということで次はまたガラリとお話が変わるようですね。ミーアのさらなる成長に期待です。


花を愛でるミーア姫(演技)、完全に美少女だ……(見た目は)。

『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』感想

ティアムーン帝国物語 ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~

ストーリー
崩壊したティアムーン帝国で、わがまま姫と蔑まれた皇女ミーアは処刑された。――はずが、目覚めた彼女は12歳に逆戻り?? 第二の人生でギロチンを回避するため、前世の日記帳を手に帝政の建て直しを決意する。手始めに忠義に厚い下っ端メイドと、左遷されたが優秀な文官を味方につけ、失敗した過去をやり直す日々が始まった。だが、ミーアの本音は「我が身の安全第一」。仇敵を遠ざけ、人脈作りに励むうちに、なぜか周囲の忖度で次々と奇跡が実現! やがて、身勝手なはずの行動は大陸全土の未来を大きく変えていくのだった……。「こ、これぐらいわたくしにかかれば簡単ですわ!」​保身上等! 自己中最強! 小心者の元(?)ポンコツ姫が、前世の記憶を使って運命に抗う、一世一代の歴史改変ファンタジー

最近Twitterのフォロワーさんが読んでるなろう小説をWebで流し読みするのがマイブームなのですが、そんな中で見つかったのが今作。
ふと作者を見たら餅月先生じゃないですか。道理で(主人公の年齢を見ながら)。
処刑の未来を防ぐため、ワガママな姫が信頼の置ける部下を増やし、帝国の叡智と呼ばれるまでになっていく展開にワクワクしました。


革命の末に処刑された帝国の皇女ミーア……しかし目を覚ますと、処刑された記憶を持ったまま12歳に戻っていた!
元々は傍若無人のワガママ姫、でも前世での3年間の牢獄暮らしでちょっと他人に優しくなったミーアが、前世で世話になったメイドを自分の世話係に抜擢したり優秀な文官を早めに手駒にしたりしてどうにか処刑の未来を防ごうとする中で、いつの間にか人望厚い皇女として名声を得ていくのが楽しいです。
ミーアは確かにワガママではあるんだけれど決して悪い子ではないし、ちょっと見栄っ張りだったり調子に乗りやすかったりするところは逆に年相応の微笑ましさがあって愛でたくなっちゃいますね。(年相応といっても元の年齢は二十歳なのだけど……)


学園で前世での革命指導者たちと出逢ってしまい、必死に避けようと思っているのに自分の名声のせいで付き合わざるを得なくなっていくミーアの右往左往ぶりが可笑しい。
一方でかつては見向きもしなかった他国の王子と打算で繋がりを持とうとした結果、だんだん本気で好きになっていっちゃう淡い恋模様もなんだかとってもきゅんきゅんして良き~!!
ミーアの帝国の立て直しがどんなふうに進んでゆくのか、恋愛の進展はどうなるのか、Web版ではたぶん2巻の途中までくらいしか追えていないので、その後のお話が楽しみです。早めに読もうっと。


イラストはGilseさん。えっちょっとミーアめっちゃ可愛いのでは??
ボブヘアー皇女殿下最高やん……。あとシオンさんフツーにイケメンで引く。がんばれアベルくん。


やっぱ僕、ですわ口調めっちゃ好きやわ……。